8月優待銘柄の比較分析【2018年8月】

8月優待銘柄について、クオカード優待とそれ以外に分けて比較分析をしてみます。

今回はそれ以外の方の比較分析となります。

▼クオカード優待の比較分析はコチラ

8月クオカード優待銘柄の比較分析【2018年8月】
8月クオカード優待銘柄の比較分析【2018年8月】
8月のクオカード優待の銘柄を比較分析したいと思います。 なかなか個性的なメンツが揃っています。 7月クオカード優待銘柄の比較分析 ...
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8月優待銘柄の比較分析

分析対象

今回の比較分析の対象は20銘柄です。

8月優待は小売や飲食を中心に結構な数があるのですが、人気と思われるものをピックアップして20銘柄に留めました。

イオン吉野家HDコメダHDクリエイト・レストランツHDSFPHDリンガーハット壱番屋サイゼリヤジェイグループHD大庄ビックカメラ日本BS放送コジマ松屋パルコ高島屋コシダカHDジンズワッツスタジオアリス

利用データについてはページ最下部に表で掲載しています。

市場評価

まずは現在の市場からの評価としてPERとPBRを見てみます。

縦軸がPER(今期予想)です。

横軸がPBR(前期実績)です。

8月優待銘柄 PBR PER

高評価(割高)な銘柄

高PER(上方向)に飛び抜けているのがジェイグループHDです。後から総合利回り観点を確認しますが、ジェイグループHDは総合利回りで株価が支えられている状態です。そのため、利益はほとんど出ていないのに株価は高止まりしており、高PERとなっています。

高PBR(右方向)に飛び抜けているのが、ジンズ、クリエイト・レストランツHD、壱番屋です。

ジンズは高PER高PBRとなっており、強力なブランド力を持った小売株として市場から高い評価を受けています。

クリエイト・レストランツHDは、レバレッジ経営とM&Aで成長しており、それを反映して高PBRに評価されているものと思われます。

壱番屋も比較的高PER高PBRとなっています。ライバルの居ないカレーチェーンであり、ハウス食品Gの傘下となったことで更に安定感が増し、市場から高い評価を受けています。

低評価(割安)な銘柄

上記で上げた高評価銘柄をグラフから取り除いて、低評価(割安)な銘柄を見やすくしてみます。

8月優待銘柄 PBR PER

PBR1倍割れの低評価となっているのは、業績成長に乏しい百貨店銘柄としての高島屋やパルコと、業績不振でビックカメラ傘下入りとなったコジマです。

とはいえ、非常に割安という水準ではなく、優待銘柄としてフェアバリューの評価を受けている印象です。

第2グループは、サイゼリヤ、ワッツ、日本BS放送です。このグループもPBR1倍以上/PER15倍程度と割安感があるほどではありません。

総合利回り

優待銘柄ということで、配当利回り+優待利回りである総合利回りを見てみます。

縦軸が総合利回りです。

横軸が自己資本比率です。経営の安定性を見る指標として総合利回りと合わせて見てみます。

8月優待銘柄 自己資本比率 総合利回り

注意点を先にいくつか。

イオンは100株以上でオーナーズカードがもらえ、買物額の3%がキャッシュバックとなる優待です。この優待の金額換算は難しいのですが、月5万円の買物=月1,500円のキャッシュバックという仮定で総合利回りを計算しています。

また、日本BS放送は1年以上、リンガーハットとワッツとコシダカHDは3年以上の長期優遇の場合で計算しています。それぞれ(*1)と(*3)で表示しています。

松屋、高島屋、パルコの百貨店銘柄は優待の金額換算が難しく、今回は0円評価としています。

総合利回りが高い銘柄

まず、上記の仮定ではあるものの、イオンは高い総合利回りとなっています。普段イオンで買物する個人投資家にとっては必須の株主優待になっています。自己資本比率が低いのが気になりますが、超大型株でもあるので目をつぶって長期保有しても良いと思います。

総合利回りが高く、自己資本比率も高い、グラフ右上にある日本BS放送、SPFHD、スタジオアリスは、安定した優待株です。

総合利回りが高いものの、自己資本比率が低い、グラフ左上にあるジェイグループHD、クリエイト・レストランツHDは、要注意な優待株です。

総合利回りが低い銘柄

優待の価値を金額換算できない松屋、高島屋、パルコは総合利回りが低くなっています。この3社については興味がない人にとっては優待の価値はありませんが、それぞれの百貨店をよく利用する方にとっては価値があるかもしれません。

3兄弟とも言われるビックカメラ関連の銘柄については、日本BS放送は利回りが高いものの、ビックカメラとコジマはイマイチです。

ジンズ、リンガーハット、壱番屋、サイゼリヤも総合利回り2%程度以下であり、優待銘柄としては魅力に欠けます。逆にそれだけ高評価されているとも考えられ、自己資本比率も高く、成長力もあります。

優待で株価を支えている銘柄

縦軸がPER(今期予想)、横軸が総合利回りです。

総合利回りと株価評価(=PER)を確認してみます。

8月優待銘柄 総合利回り PER

総合利回りが比較的高めで、高PERとなっている銘柄としては、ジェイグループHD、吉野家HD、大庄です。

業績不振ながらも優待によって総合利回りが高く、株価が底支えされているものと思われます。

自己資本利益率(ROE)

次にROEとPERで見ていきたいと思います。

縦軸がPER(今期予想)です。

横軸がROEです。

8月優待銘柄 ROE PER

ジェイグループHDと大庄が前期赤字のためROEがマイナスになっています。

優待によって総合利回りが高く、株価が支えられているためPERは高めです。

この2つを取り除いて、グラフを見やすくしてみます。

8月優待銘柄 ROE PER

高ROE銘柄

グラフ右側の、コメダHD、コシダカHD、ジンズは高ROEです。

ジンズは同時に高PERで市場から正しく高評価されていると思いますが、コシダカHDやコメダHDはそれほど評価されていません。競争激化や成長鈍化が懸念されている可能性があります。

レバレッジ経営のクリエイト・レストランツHDも比較的高ROEですが、それ以上にSPFHDの方が高ROEです。SPFHDは自己資本比率も高いので、クリレスの子会社ながらSPFHDの方が魅力的に見えます。

低ROE銘柄

イオンや吉野家HD、コジマ、リンガーハット、百貨店銘柄の高島屋、松屋、パルコは低ROEとなっています。

イオンや吉野家HDは優待に支えられて高PERです。

リンガーハットと松屋は低ROE、低総合利回りの割には高PERとなっています。PER40倍以上の評価は出来すぎの印象であり、水準訂正があるかもしれません。リンガーハットはちゃんぽんというライバル不在のブランド力でしょうか?松屋は・・・分かりません。

8月優待 個別銘柄ピックアップ

以上の比較分析から、期待の銘柄をピックアップしたいと思います。

優待目的で狙いたい銘柄

普段イオンで買物する方は、イオンの株主優待は必須です。使い方次第ですが、総合利回り9%程度と考えると長期保有でOKだと思います。

総合利回りが高く、自己資本比率も高い、日本BS放送、SFPHD、スタジオアリスも長期保有しても良い銘柄だと思います。スタジオアリスは写真撮影券なので不要な方も多いかもしれませんが、親戚や友達にプレゼントしたり、オークションで売却するといった使い方もできます。

自己資本比率が低く要注意とは思いますが、クリエイト・レストランツHDもアリだと思います。子会社のSFPHDと合算できる飲食店もありますので、2社を同時に取得するのがオススメです。

優待より業績に期待する銘柄

高ROEで成長力のある銘柄としては、ジンズ、コシダカHD、コメダHDです。

株価もそれなりに評価されており、総合利回りは低くなっているため、株主優待を目的とするよりはキャピタルゲインを目的とする投資の方が多いと思われます。

そのついでとして(本来そうなのですが・・・)、優待も貰える銘柄という位置づけです。

割高な銘柄

松屋は、ROEも総合利回りも低いですが、PERは40倍超となっており、割高感があります。

リンガーハットと壱番屋も同様なのですが、この2社は他にライバルの居ない飲食チェーンであるので、そのブランド力を評価して高PERだという解釈はできます。

まとめ

小売・飲食の激戦区である8月だけあって、魅力的な優待銘柄も多かった印象です。

優待内容はそれぞれ合う合わないがあると思いますが、イオン、日本BS放送、SFPHD、スタジオアリス、クリエイト・レストランツHDの5社は優待を目的とした投資を検討する価値はあると思います。

というより、個人投資家に人気の銘柄ばかりなので、すでに長期保有している個人投資家も多いかもしれませんね。

総合利回りは低くなってしまっているものの、ジンズ、コシダカHD、コメダHDは成長力もあるので、キャピタルゲインと優待の両方を楽しみにできる銘柄だと思います。

この比較分析が8月優待銘柄に対する投資の参考となれば幸いです。

利用データ

2018年8月17日時点の数値を用いています。

PERは今期予想(yahooファイナンス)です。一部の銘柄で業績予想がなく、yahooファイナンスに記載されていないものは、四季報データを用いました。

PBR、ROE、自己資本比率は前期実績値です。

グレアム係数は、PER×PBRです。

総合利回りは、配当利回り+優待利回りです。優待では長期優遇制度は含めず、利用価値のあると判断される優待内容のみを採用しています。

銘柄名から本ブログの個別分析のページも確認いただけます。

銘柄 PBR PER グレアム係数 ROE 自己資本比率 総合利回り 単元価格 時価総額
イオン 1.74 56.07 97.56 2% 12% 9.2% 2,337 20,377
吉野家HD 2.17 71.34 154.81 3% 50% 4.3% 1,879 1,224
コメダHD 3.59 18.87 67.74 19% 43% 3.3% 2,136 967
クリエイト・レストランツHD 6.53 31.95 208.63 13% 28% 5.3% 1,354 1,283
SFPHD 3.31 20.75 68.68 14% 80% 5.7% 1,864 480
リンガーハット(*3) 3.03 44.51 134.87 7% 63% 2.0% 2,415 630
壱番屋 4.93 45.79 225.74 11% 72% 2.1% 4,575 1,461
サイゼリヤ 1.34 17.74 23.77 10% 78% 1.7% 2,225 1,163
ジェイグループHD 4.18 150.83 630.47 -2% 20% 4.7% 908 78
大庄 1.59 62.09 98.72 -2% 57% 3.7% 1,741 369
ビックカメラ 1.89 15.96 30.16 12% 35% 3.0% 1,421 2,674
日本BS放送(*1) 1.44 15.43 22.22 10% 90% 3.7% 1,339 238
コジマ 0.96 17.81 17.1 6% 38% 2.0% 503 392
松屋 2.93 44.15 129.36 6% 33% 0.5% 1,167 622
パルコ 0.96 15.79 15.16 6% 48% 2.0% 1,198 1,216
高島屋 0.72 17.11 12.32 6% 42% 1.3% 906 3,221
コシダカHD(*3) 3.79 22.55 85.46 18% 50% 4.5% 1,119 921
ジンズ 7.77 44.01 341.96 17% 58% 1.6% 6,120 1,468
ワッツ(*3) 1.31 14.73 19.3 9% 50% 3.5% 1,006 140
スタジオアリス 2 16.6 33.2 8% 72% 6.4% 2,492 428
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