ドンキホーテホールディングス(ドンキホーテHD)は、深夜まで営業の総合ディスカウント店を首都圏中心に全国展開。子会社にHCドイト、長崎屋。
株主優待はありません。
2018年6月期において29期連続増収増益・13期連続増配を達成する安定成長株です。
ドンキホーテHDの概要と個人投資家ブログの意見をご紹介します。
目次
人材と個店主義を強みに安定成長を続ける小売の勝ち組
事業内容
ドンキホーテHDは、総合ディスカウントストアとして、ドン・キホーテ、MEGAドン・キホーテを展開しています。
その他リテール事業として、総合スーパーの長崎屋、DIYホームセンターのドイトも展開しています。
首都圏を中心とする店舗展開

第38期(2018年6月期)中間株主通信より抜粋
2018年6月期においてグループ店舗400店を達成しています。
関東(特に首都圏)を中心にしながらも全国に店舗を展開しています。
- 北海道 :15店舗
- 東北 :16店舗
- 関東 :166店舗
- 中部 :54店舗
- 関西 :64店舗
- 中国・四国:15店舗
- 九州・沖縄:35店舗
円グラフすると以下のように関東で約半分の店舗数となっています。逆に言えば、関東以外にはまだまだ店舗の出店余地がありそうです。
海外店舗

第38期(2018年6月期)中間株主通信より抜粋
ハワイ、米国、マレーシアに店舗を展開しています。
特にハワイにおいては、ドン・キホーテを出店するとともに、2017年に買収したタイムズ・スーパーマーケット24店舗を運営しています。
上場以来の安定成長
安定成長と株価推移
ドンキホーテHDは、2018年6月期で29期連続の増収増益を達成しており、ニトリに次ぐ日本屈指の安定成長株です。
上場以来の安定成長と株価推移については以下のブログが詳しいです。
IPO後に人気となり株価は一気にテンバガーを記録しますが、その後は急降下してしまいます。それでも業績は安定成長していたことから株価はジリジリと上昇します。リーマンショックで落ち込んだものの、アベノミクスに乗って再度テンバガーを達成しています。
第1回は「安売りの殿堂」として、
上場から20年で急成長を遂げた
ドンキホーテHDです。
引用元:【はっしゃん】のスロートレード
人材が強み
ドンキホーテの強みとして、居抜き物件への積極出店、スタッフへの権限委譲の徹底、独自の店舗運営をあげていらっしゃいます。
連続増収をしているドン・キホーテの強みとして以下の3点だと考えている
ドンキホーテといえば、安売りであることや、特徴的な店舗に目を奪われがちですが、上記ブログの2番目にもあげられてように、特にスタッフ=人材を重視しており、それが強みとして確立されているようです。
2018年6月期における質疑応答においても、「課題は常に人財の問題です。」という回答があります。

2018年6月期 本決算説明会 質疑応答要旨より抜粋
「人財のクオリティーが個店主義を支えて」いるとも回答されており、優秀な人材の獲得・維持と、各人材へ権限委譲による店舗運営がドンキホーテの一番の強みと思われます。
インバウンド銘柄として

第38期(2018年6月期)決算業績説明資料より抜粋
ドン・キホーテはインバウンドの恩恵を受けており、訪日客の増加に伴って免税売上高を大きく伸ばしています。
2018年6月期4Qにおいては、免税売上高比率は10%に達しており、特に日用雑貨品の売上が伸び続けています。
特に大阪・福岡・沖縄の店舗では免税構成比が50%を超える店舗も出てきており、インバウンド銘柄として未だに強さを維持しています。
不動産管理は子会社の日本アセットマーケティング
2013年に買収・子会社化した日本アセットマーケティングに不動産管理業務を移管しています。
ドンキホーテHDグループの店舗については、不動産の取得・管理は日本アセットマーケティングが担っており、そこから賃貸する形となっています。
ユニーとの出資・業務提携
ユニー株の40%を取得
2017年8月、ユニー・ファミリーマートHDと資本・業務提携することが発表されました。
とは言っても、ユニー・ファミリーマートHD自体に出資するのではなく、子会社のユニーの株式40%を取得するものです。
総合スーパーのユニーが苦戦する中で、願ってもない申し出だったのではないかと指摘されています。
スーパーの200店舗の不採算事業の立て直しが急務だそうで、今回の打診がドン・キホーテ側からあった時には、願ってもないこととの意見であったそうです。
一方で、ユニー・ファミマ株ではなく、ユニー株を取得したことは納得できないという意見もあり、ユニー幹部が1人も居なかったと指摘されています。
大体は評価できます。ただ、ユニーファミマの株ではなくユニーの株をドン・キホーテが40%持つのは納得いかないですね。
そして、この会見の場にユニーの幹部が一人もいなかったのが全てを物語っていると思います。
引用元:柔のべーさんぽ
MEGAドン・キホーテUNY
ユニーとの協働事業として、ユニー店舗(アピタ・ピアゴ)をMEGAドン・キホーテUNYへと業態転換しています。
第38期(2018年6月期)決算業績説明資料より抜粋2018年6月期において6店舗を業態転換しており、売上高・客数・粗利高を向上させることに成功しました。
次は西友の買収?
米国ウォルマート傘下の西友について、売却する検討に入ったニュースが2018年7月に流れました。特定の相手とは売却協議はしていないとコメントされ、一旦の火消しとなっています。
それに対して、ドンキホーテHDは西友の売却について「興味はある」と述べており、西友の不動産(立地)と人材を獲得すべく検討に入っているものと思われます。
財務は悪化
ユニーとの資本業務提携により1,000億円ほどを拠出しており、全てを借入金で賄ったと思われます。
そのため、2018年6月期においては財務悪化が進んでおり、キャッシュ720億円に対して借入金は3,130億円、自己資本比率は36%となっています。
中期経営計画
ビジョン2020
ドンキホーテHDは、2020年6月期を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画を発表しています。
2020年6月期において、売上高1兆円(年率+8%成長)、ROE15%(年率+0.96pt成長)を目標値としています。
売上高成長を特に重視しており、その達成に向けて店舗数を306店舗→500店舗(年間で約40店舗増)まで拡大させる計画です。
3年目となる2018年6月期においては、店舗数増加はオンラインながら売上高9,415億円と計画超過で着地しています。売上高1兆円は射程圏内と思われ、2019年6月期において1年前倒しでの中計達成を見込みます。
一方で、2018年6月期のROEは13.3%と前年度比-0.2ptに沈んでおり、借入金を増加させた割にはROEが伸びなかった(=利益成長が伴わなかった)状況となっています。
総合評価
29期連続の増収増益を達成する安定成長株であり、小売業界における勝ち組企業です。
2018年8月時点でPER23.8倍/PBR3.03倍となっています。安定成長株として評価されており、フェアバリューといった印象です。
株価は2017年終盤に高騰したものの、2018年1月と3月でダブルトップを形成し、下落トレンドとなっています。2019年3月期が1桁台の増収増益に留まることや、財務悪化が懸念されているようです。ユニーへの出資に続いて西友も買収するとなれば、公募増資もありえると思われます。