FPGは、課税繰り延べメリットのオペリース投資商品を販売。会計事務所販売網を構築していることが強みです。
高い成長率とROEを誇りながらも、その業態の分かりにくさから敬遠されがちです。業績は絶好調であり、2010年の上場以来、2017年9月期までで7年連続増配です。
FPGの概要と個人投資家ブログの意見をご紹介します。
目次
タックス・リース・アレンジメントとは?
FPGが手掛けるのは、タックス・リース・アレンジメントという耳慣れない事業です。
よく分からない事業を営みながら、業績は絶好調なのです。ビジネスモデルを解き明かして投資する者、とりあえず業績だけ見て投資する者、分からないものには近づかないと敬遠する者。個人投資家の対応もバラバラです。
ビジネスモデルを解き明かす
FPGはリース会社のように捉えられがちですが、実はリース商品を転売する手数料ビジネスで稼いでいます。リース会社は低PERで放置されていることが多く、FPGの社長もリース会社ではない(=もっと株価的に評価してほしい!)と主張されています。
ビジネスモデルが分かりやすいのはプレノンさんのブログだと思います。
① FPGは船舶などを購入し、海運会社などとリース契約を結ぶ。
② しかしFPGはリース会社ではなく、目的はこのリース契約自体の投資家への転売だ。転売手数料はFPG出資金に対して約15%。
(FPGの財務諸表に関係するという点では②までで終了。以下は投資家にとっての話)
③ リース契約はSPCという箱の中に詰め込まれて販売される。箱の中はリース契約のほかに、出資金30%、銀行からの借入金70%で構成される。
④ SPCの損益はリース物件の定率法償却によりリース期間中の前半に損失、後半に利益が出る仕組みになっている。この効果は投資家にとって、物件金額に70%の借入レバレッジが効いていることでより大きくなる。そして投資家(主に中小企業)は前半年度に発生する損失を自らの事業の利益とぶつけることによって法人課税を減少させる。
引用元:プレノンの株式投資
上記②にもありますが、FPGは15%ほどの手数料を取ってリース契約を転売しています。これだけ手数料を取れるのは、買い手側にもそれ相応のメリットがあるからです。
このように、買い手は、いわばクソ高い税金とFPG商品のコストとを天秤にかけることになると思います。
高い税金が競争相手というのは、所得税(あるいは法人税)がべらぼうに下がらない限り、悪くない商売(FPGに軍配が上がりやすい商売)だと思います。
会計事務所販売網が強み
FPGの直接の顧客は、儲かっている会社の社長です。
FPGと顧客を繋いでいるのは会計事務所であり、その販売網がFPGの強みです。
個人や中小企業の社長は、税理士に相談します。税理士も、よい解決策は、顧問先には教えてあげたい。いい情報教えてあげて顧客に喜ばれれば、税理士だって顧問先がさらに新しい顧問先を紹介してくれるかもしれませんからね。その意味で、FPGみたいな節税策を教えてあげるモチベーションは、税理士には極めて高いと思います(FPGからのバックペイもあるようです)。
また、会計事務所だけでなく、他にも多くの関与者がいて複雑化された商品であるからこそ、その関与者たちとの関係性が強みだという見方もあります。
リースをする企業、銀行、投資家を巻き込む複雑な商品で、会計プロフェッショナル性、営業コネクション作りなど高い参入障壁があります。
引用元:すぽさん投資ぶろぐ(旧サイト)
リスク
FPGのリスクも多くの方が指摘されています。
最も大きなリスクが「税制」です。現状の税制で定率法償却が認められているからこそ、課税繰り延べができる投資商品を販売できています。定率法償却が廃止されれば、これまでのような投資商品は全く売れなくなります。
FPGの社長は、国税庁にも認められているメソッドだと胸を張っていますが、今は認めているからといって未来永劫認めてもらえるかは分かりません。
本当のリスクは二つ目だ。税制改正で定率法償却が認められなくなること。定率法が廃止されれば損失先出しによる課税繰り延べが出来ず、投資家がSPCを購入するほぼ唯一のメリットがなくなってしまう。本当に致命的なので、オペレーティング・リースに対する回答があった先ほどの自社サイトでも、定率法廃止については一切触れられていない。
引用元:プレノンの株式投資
もう1つは、後発企業が出てきて手数料の値下げ合戦になることです。後発企業として、2014年に上場したジャパンインベストメントアドバイザー(7172)が挙げられます。
後発企業が出てきて、同等の節税商品をより手数料を安く設定してきた場合、シェアを食われるリスクはあり、継続的な監視が必要です。
最後に、景気敏感であることも挙げられます。FPGの顧客は儲かっている会社の社長です。景気が悪くなると儲かっている会社が減り、課税繰り延べをする必要がなくなってしまうため、FPGの顧客も減ってしまいます。
また、現状のリースしている商品も、航空機や船舶なので、景気が悪くなるとそもそもリースできない(=FPGが販売するリース商品自体が組成できない)ということもありえます。
もう少しリースする商品に幅が出ないと、影響を今後もそこそこ受けると思います。
航空機やコンテナ、船舶の需要というのは、いずれも景気敏感という印象。もっと商品を多様化できれば、不況時にも組成する商品には困らないと思うんですけどね。
しかしながら、景気が悪くなるほど、航空機や船舶は自社で保有するよりリースに切り替えたい(キャッシュフローの改善、B/Sのスリム化等のメリットあり)という思惑もあるでしょう。そう考えると、リースできないということは無いようにも思えます。
海運会社などが自社で船舶を購入せず、オペレーティング・リースを選択する理由の一つに、会計基準がオフバランスを許容していることによるB/Sのスリム化がある。SPCを利用したリース転売スキームは、転売するリース契約が存在していることが大前提にある。
引用元:プレノンの株式投資
分かれるFPGへの対応
上記のようなビジネスモデルを持つFPGは、これまで大きく業績を伸ばしてきました。
それでも、個人投資家によってFPGへの対応は分かれています。
君子危うきに近寄らず
金融商品はとにかく分かりにくい。分からないものには投資しない。という意見です。
地味銘柄好きな私としてはとりあえず見送り
引用元:みやびの館@株式投資
一度はFPGに投資したものの、失敗だったと反省されている意見です。
(1) ビジネスモデルを十分に理解できない企業には投資しない。
(2) これまで良いパフォーマンスを残すことができた得意分野、相性の良い企業に投資する。
引用元:紅の鹿の日記
注視しつつも期待
やはり目を見開かずを得ない利益率の高さに注目して投資した方の意見です。
ちらっと四季報を眺めたら、異常な利益率の高さに目ん玉が飛び出ました
前受金に注目されている方の意見です。前受金は将来的な売上を予測する方法として有効だと思います。
今次決算の1番のポイントとして、商品出資金とともに、第4四半期以降に販売予定の商品出資金に係る手数料の前受金が大幅に増加していることは安心材料です。
引用元:株式投資に目覚めた群馬の至宝 ※2016年3Q時
営業キャッシュフローに注目されている方の意見です。
以前からこのことが気になっていたのですが、この企業、営業キャッシュフローがずっとマイナスです。
このことがあったのでこの銘柄は避けていたのですが、調べてみると、オペリース投資商品を作るとどうしてもキャッシュフローはマイナスになってしまうようです。そして何年かしたあとで、資産を売却してキャッシュとして回収する仕組みのようです。
すぽさんも過去に良い評価を出して投資されたようですが、2017年2月には売却されています。2017年1Q決算で成長鈍化と捉えての売却だそうです。
「成長、ビジネスモデル、割安」がそろったA→S戦略と言えます。4.0です。
引用元:すぽさん投資ぶろぐ(旧サイト)