フジ・コーポレーションは、タイヤの専門店「タイヤ&ホイール館フジ」を東北や関東で直営展開しています。
割安成長株として評価されてきましたが、2016年10月期はリーマンショック以来の減益となり、成長鈍化が懸念されています。それでも着実に利益を積み重ねていることから、安定成長株に分類したいと思います。また、優待を拡充したことで、配当優待株としての注目が集まっています。
フジ・コーポレーションの概要と個人投資家ブログの意見をご紹介します。
目次
カーマニア向けタイヤ販売の圧倒的な実力
フジ・コーポレーションが手がけているのは、カーマニア向けのタイヤ販売です。競合他社と比べて優位に立つ強さを持ちながら、認知向上・エリア拡大によって業績を拡大しています。
フジ・コーポレーションの強み
現状では客層はカーマニアと言われています。タイヤ販売と聞くとオートバックスやイエローハットが知名度が高いと思いますが、そのような一般客向けとは住み分けをしています。
現状、一番のライバル企業と言えばカーポートマルゼンでしょうか?
オートバックスやイエローハット、タイヤ館などとは客層が異なる(オートバックスは一般向け、フジやマルゼンはマニア向け)ため、完全なライバルとは言えないと思います。
引用元:ゆうゆー投資法
カーマニアが気にするのはタイヤの種類の豊富さ、品揃えです。それを満たしているのがフジ・コーポレーションなのです。社長もその点について以下のようにコメントされています。
「勿論タイヤ・ホイールに関する品揃えは同業他社の追随を許さないでしょう。」 と絶対の自信を持っています。
引用元:みきまるの優待バリュー株日誌
そしてこの品揃えを実現しているのには、2つの理由があります。
理由①:全店舗が直営
フジ・コーポレーションは全て直営店舗で運営しています。そのため、経営判断が全店舗の販売現場に浸透しやすい、在庫の融通も効く、などの点で強みになっています。
フジ・コーポレーションは全店舗が直営であり、本部マージンが不要なこと、迅速な経営判断が出来ること、通信販売が可能等の点でフランチャイズの多いオートバックスやイエローハットなどのライバルに対して圧倒的な価格優位に立っていること。
引用元:みきまるの優待バリュー株日誌
理由②:メーカー直営ではない
また、タイヤ館のようにメーカーが運営するタイヤ販売とは違って、複数のメーカーのタイヤを販売することができます。これによりカーマニアがアレコレ比較しながらタイヤを選べます。
タイヤ販売はブリジストンのタイヤ館などのメーカー直営店が圧倒的なシェアを握っている世界だが、それらの直営店はメーカーの都合で存在するお店であり、客の方を向いていないので品揃えが劣る。そのためほぼ全てのメーカーのタイヤを扱っていて「客の欲しい商品が何かを考えて仕入れている」フジ・コーポには敵わないこと。
引用元:みきまるの優待バリュー株日誌
利用者の声
実際にフジ・コーポレーションを利用した人に聞いてみたというブログもありました。何事もよく調べてアクションを起こす友人が、タイヤ購入にあたってフジ・コーポレーションを選んだそうです。なぜフジ・コーポレーションなのか聞いてみると、こう答えたそうです。
「もう価格的には他の店は比較にならない。それにタイヤ館はブリジストン系とか、フジ以外は系列のタイヤしか扱ってないし、そもそも価格が全然違う。ホイールと4本セットで3万円以上の開きがあるから、フジを知ったらみんなフジで買うと思うけど、みんな調べないから知らないんだろうな。そもそも東京に店舗がほとんどないから混んでるみたいだし。WEBショップで買うことも何の心配もないよ。フジはホイールとのバランス調整をした取りつけた状態で送ってくれるし、送料無料だしね。」
さらに自分でもフジ・コーポレーションでタイヤを買おうとしてみると、その通りであることが分かったそうです。
宅近所のイエローハットとかタイヤ館とかにも電話をして調べたんですけど、もうフジのWEBショップに掲載されている価格(ステップワゴンに合う4本のホイールとのセットで6万4千円が最安値)とは雲泥の差なんですよね。彼の言うとおりでした。
で、WEBショップで注文しようとしたら、「ご注文が殺到していて、商品のお届けは年末か年明けの可能性がある。」ってことだったので、もう大慌て。フジ以外で買うなんて考えらない状態でしたから、東京の店舗を調べて練馬と青梅の両方に電話してみたんです。
このブログだけから考えると、フジ・コーポレーションの強みとして、「品揃え」に加えて「安さ」という点もあるということです。
今後の成長性
今後の成長については、認知向上とエリア拡大によって、フジ・コーポレーションを選ぶ客が増えていくかどうかにかかっています。タイヤの販売は暖冬・寒冬の影響は受けるものの、一定であり、各タイヤ販売会社によるパイの奪い合いです。
現状でオートバックスやイエローハットやでタイヤを買っているような一般的な消費者が、フジ・コーポレーションを認知すれば、もっと業績が拡大するように思います。
様々な観点で業績拡大を想定する個人投資家の意見がみられました。
確かにフジは、「エリア拡大型」の成長ストーリーも持っていますが、メインは実は「認知度向上型」の成長ストーリーの方になります。
引用元:ゆうゆー投資法
また、現在は東日本中心の出店が、西日本に広がっていけるかも、もちろん重要な要素になります。
そしてフジ・コーポは利益率の高い美味しいビジネスであるタイヤ販売のみに特化しているという利点があるだけでなく、現在の店舗数は東日本中心に僅かに43に過ぎず、西日本には巨大な空白地帯が広がっており、これからまだいくらでも日本全国に出店余地があります。
引用元:みきまるの優待バリュー株日誌
実店舗も重要ですが、ネット社会である現代においては、ネット販売も拡大し続けるでしょう。
私はそれに加えて「WEBショップでのエリアフリーな顧客獲得でさらに成長できる余地があるわ。」って思えたんです。(カーポートマルゼンもWEBショップがありますけど。。)
一方で懸念を示す個人投資家も
今後の成長性に期待する向きがある一方で、これまで約6年間保有していた個人投資家が売却に動いたそうです。2017年10月期の1Qの決算における減益を懸念しています。
減益理由を円安による仕入れコスト増としていますが、当社は今までも原価率の悪化はありました。
そして円安になった2012年以降、原価率はむしろ改善さえしていたのです。
仕入れコストの変動には為替以外の要因は当然あるのでしょうが部外者の私には事情が残念ながらわかりません。
引用元:コムストックの投機日記
また、今後は競合他社がいるエリアへ出店するしかないため、成長鈍化を懸念されています。
既にオートバックスやイエローハット等の競合がひしめくエリア(要は関東への本格南進)に出店するしかないため、大きな伸びが期待しにくい状況です。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
大雪特需
2018年初は全国で記録的な大雪となったことで、スタッドレスタイヤ販売に特需となっており、大幅な増益となる見込みです。
業績予想は期初より据え置きとなっているものの、予算達成はほぼ鉄板であり、上振れも期待できるとコメントされています。
繁忙期を含む上期が大変好調に推移したため、今期の予算はほぼ鉄板と思われ、既に開示されている10ヶ月累計期間(11月-8月)の既存店売上高は105%となっていることなども踏まえると、通期の業績は上振れ圏にあると言えそうです。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
財務は安定的
財務については拡大と改善が続いています。
2017年10月期においては、自己資本比率56%となっており、借入金も50億円未満まで減っています。(cf. 時価総額250億円)
優待拡充&昇格
話は変わって、優待についても見ていきます。
フジ・コーポレーションは数少ない4月優待銘柄です。しかも、このところ優待拡充を続け、東証1部まで昇格してきました。
優待拡充その1
株主優待は三菱UFJニコスギフトカードです。クオカードと並んで人気の優待品です。
2016年、それまで500株以上であった株主優待を、100株以上でもギフトカードがもらえるようになりました。これにより100株保有の個人投資家を増やし、東証1部昇格へ向けて動いたとみなされました。(その後、その通り東証1部へと昇格しました)
株主優待を貰える株式数が、500株単位⇒100株単位と変更になりました。
従来は100万円近く必要でしたので、かなり投資しやすくなり嬉しいですね~。
タイヤ専門店を展開する成長銘柄で、東証一部への昇格も期待できます。
当時の状況では、総合評価はCでした。
【 きびなごの格付け 】 C
〔A~Eの5段階評価で、Aが最高・Cが普通・Eが最低〕
・業績安定度:B
・財務安定度:C
・配当利回り:D
・割安感:C
優待拡充その2
100株以上で1,000円のギフトカードであった優待を、100株以上で5,000円のギフトカードへと拡充しました。5倍になる大きな拡充ということで、優待メインの個人投資家からも大注目を集めました。
従来単元の100株保有していた株主は1,000円分のギフトカードをもらえましたが、今後は5,000円分もらえることになります。実に5倍となり優待利回りも(2/14の終値では)2.5%に跳ね上がります。
引用元:株主優待侍
総合評価
2018年10月時点の総合評価
2018年10月時点でPER15.2倍/PBR1.84倍となっています。業績予想は据え置かれているものの、3Q時点でほぼ達成しており、上振れが期待されます。
株価は2018年3月を天井に調整入りしています。大雪の特需期待で株価が上がった反動で、元の位置に戻ってきています。すでに来期業績へと目線は移っていると思われ、特需のあった今期に対して来期は減益となることを織り込む株価調整だと思われます。
2017年3月時点の総合評価
リーマンショック後からの安定成長成長にともなって20倍以上まで株価もあげてきました。
2017年10月時点でPER15倍程度と割高感は無いものの、逆に、成長鈍化・停滞感が漂うため適正なPERに思えます。
優待狙いで100株ホールドは問題ないと思いますが、東証1部を達成済みであり優待廃止・改悪が気になってしまうところです。
株価水準が切り上がらないのは、明らかな業績頭打ち感による重しと指摘されています。
当社は既述の指定替えのタイミングと前後して、株式分割や株主優待の拡充を実施して、2千人強だった株主数を1万人水準まで激増させましたがタイミング的に指定替え対策ではなく、株価対策的な意味が強いと思われ大幅な優待拡充内容のわりに、株価水準が一向に切り上がらないのは、この明らかな“業績頭打ち感”が重しになっているような印象を受けます。
引用元:なちゅの市川綜合研究所