Genky DrugStores(ゲンキー)は、福井県が地盤のドラッグストア。北陸・中部でも展開中。売上に占める食品比率が高く、ディスカウント路線を徹底しています。ゲンキー(2772)から持株会社へ移行し、Genky DrugStores(9267)となりました。
株主優待は年2回(6月12月)で自社商品またはカタログギフトまたはお米等です。2年以上の継続保有で長期優遇もあります。
ゲンキーの概要と個人投資家ブログの意見をご紹介します。
福井地盤のドラッグストアは成長路線を描き続ける
東証1部昇格
ゲンキーは2011年に東証1部へ昇格しました。昇格のために株主優待を実施して株主数を増やす戦略をとり、株主優待狙いの個人投資家にも好評でした。
昇格後の迷走
その後、1部昇格を果たしたとたん、株主優待をやめる、ポイントカードを廃止するなどの迷走を始めました。
ゲンキーは、東証1部に上場する前に太っ腹な株主優待を新設し、晴れて東証1部に上場できた後に株主優待を廃止して、優待投資家の大ブーイングを受けました。
さらに同時期にポイントカードを廃止したことがきっかけとなり、お客さんが他店舗に流れて業績が悪化。その結果、同社の株を手放す株主が増加し、一時は東証1部上場基準の株主数2,200人割れ寸前まで株主が減りました。
引用元:紅の鹿の日記
さらなる迷走(もしくは英断)
株主優待廃止やポイントカード廃止により、個人投資家から見放されるとともに、業績も下方修正となるなど大きな影響を受けました。そのため、どちらも復活するという判断を下します。
この判断について、拙い・節操ないという意見もありましたが、株価と業績は回復していった結果から見ると英断だったのではないでしょうか。
さすがにこのままではまずいと考えたのか、廃止した株主優待を復活させ、廃止したポイントカードも復活させましたが、支離滅裂な行動が目立ちました。
・・・このようにいろいろと拙い面があった会社ですが、最近は月次売上が好調に推移して業績は回復基調です。そして、株価は連日上場来高値を更新するなど右肩上がり。
引用元:紅の鹿の日記
東証1部昇格直後に株主優待を廃止したドラッグストアのゲンキーが業績下方修正直後に株主優待を再開
引用元:市況かぶ全力2階建
ゲンキーは一度やめた優待制度を再開するというのは凄く勇気が必要だったでしょうし英断だったと考えています。(何も深く考えていない可能性もありますが。) ただこれがゲンキーにとっては正解と思います(本当はポイントカード制度も再開すべきと考えています)し、今度こそはぜひ末永く優待制度を継続して欲しいと願っています。
引用元:みきまるの優待バリュー株日誌
ゲンキーの戦略
3年間で営業利益を3倍にする戦略とはどのようなものなのか。これは紅の鹿さんのブログが詳しいです。
ゲンキーの強みは以下の3点です。
- ディスカウント路線の徹底
- 富士パールネックレス作戦(ドミナント戦略)
- 100%子会社のゲンキーネット
ディスカウント路線の徹底
そもそも、ゲンキー社長のポリシーからして徹底したディスカウントは、ゲンキーの使命とも言えます。
ゲンキーの自社開発プライベートブランド商品群であるG-PRICEを中心に多くの商品を、消費者が”お買い得”と感じる価格で販売しています。さらにはポイント還元も大盤振る舞い。
そもそも、ゲンキーは、「日本の物価を3分の1にする」ために創業者の藤永賢一社長が立ち上げた会社です。
引用元:紅の鹿の日記
そのため、プライベート商品を非常に安く販売しており、それが顧客満足に繋がっているようです。
ゲンキーの最新の月次概況(7月度)には、「従前より推し進めているディスカウント路線が奏功し、G-PRICEを中心としたプライベート商品の売上高は、全体に対して10%超で堅調に推移しました。消費税増税後において、当社の低価格訴求はお客様より一定の評価をいただいているのではないかと判断しております。」と書かれており、会社側が現在のディスカウント路線に手応えを掴んでいるように感じられます。
引用元:紅の鹿の日記
富士パールネックレス作戦(ドミナント戦略)
ドラッグストアといえばドミナント戦略です。ドラッグストアは様々な地域を地盤として群雄割拠しているのが現状です。
そんな中でゲンキーは福井県を地盤としながら、富士パールネックレス作戦を掲げます。この作戦とは、まずは北陸、次に愛知・岐阜、そして長野・静岡と、ドミナント戦略で集中出店しながら、展開する都道府県を増やしていくということです。
富士山を取り囲み、ネックレスをかけるように福井・岐阜県から東海圏に進出するビジョンがある。店舗が増えれば人員も必要だ。岐阜エリア100名という画期的な募集人数に企業の勢いと未来を見ることができる。ゲンキーは自ら考え新しいゲンキーを創りだす社員で溢れている。
引用元:紅の鹿の日記
これについては肯定的な見方もありますが、難しさ・リスクとして他ドラッグストアとの全面戦争になる点には注意が必要でしょう。
ゲンキーが「富士パールネックレス作戦」を完遂するためには、岐阜県が地盤の「中部薬品」(※店舗名Vドラッグ)、石川県が地盤の「クスリのアオキ」、愛知県が地盤の「スギ薬局」、静岡県が地盤の「高田薬局」などと全面戦争になります。
さらには、それらの地域にあるコンビニが新たなライバルになろうとしています。
引用元:紅の鹿の日記
100%子会社のゲンキーネット
薬事法の改正により、一般用医薬品のインターネット販売が解禁されました。ゲンキーネットはドラッグストア業界の中で最も早く医薬品のインターネット販売を始めました。また、2013年には楽天ショップ・オブ・ザ・イヤーを受賞するなど、実績を積み重ねています。
インターネット通信販売で一定の地位を築き、成功をおさめつつあるゲンキーネットが、インターネット販売においては他の競合ドラッグストアより優位な立場に立っていることは間違いないでしょう。
引用元:紅の鹿の日記
公募増資
ゲンキーは、2017年9月に公募増資を発表しました。
64億円を調達し、出店や店舗改装にあてるとしています。
自己資本比率が低いため、融資ではなく増資にしても仕方ないとコメントされています。
同社は自己資本比率30%ないのを気にしていて、それで融資ではなく増資にしたんですかね。まあ仕方ないのかもしれませんけど・・
財務はそこそこ
上記の通り、2017年に公募増資を行っており、財務状況は改善しています。
それでも、新規出店と改装をガンガン行っているため、資金需要は旺盛であり、財務的にはそこそこの状態止まりです。
2018年6月期においては、キャッシュ22億円に対して借入金は130億円ほどとなっており、自己資本比率40%となっています。
中期経営計画
2017年6月期:営業利益3倍化計画
2011年のゴタゴタからしばらく株価・業績は足踏みを続けます。
2014年になってゲンキーは意欲的な中期計画を発表し、注目を集めます。
3年間で営業利益を3倍にするという中期計画です。2014年6月期の営業利益19億円であったのを、2017年6月期には営業利益60億円にするという驚異的なものでした。
これをきっかけとして個人投資家の注目が集まります。
中期計画の実現性
魅力的な中期計画ですが、実現できなければ意味がありません。実現を願ってゲンキーに投資しつつも、リスク管理は徹底していくと紅の鹿さんは結んでいます。
同業他社だけでなくコンビニとの全面対決となる新中型店の動向が、これからのゲンキーの業績に大きな影響を及ぼすでしょう。
そのために、当然、リスク管理は必要です。
紅の鹿は、会社が毎月発表する月次概況(月次の売上実績)に注意を払いながら、株式を保有しつづけるのか、一部を売却してウェイトを落とすのか、それとも全株売却して一時撤退するのかを決める考えです。
引用元:紅の鹿の日記
成長路線であることは認めつつも、3年で営業利益3倍という成長率には懐疑的な意見もあります。
確かに成長路線をいくことは間違いないと思います。
しかしその幅の評価が不透明なこと、参入障壁が低く、
既に競争激化となっている中、低価格路線が今の時流と本当に合うのか、
このあたりに自信が持てません。
引用元:中長期投資の練習記録
独特の強みは認めつつ、出店計画が強気すぎるのではということで、すぽさんブログでの評価は3.5でした。(5点満点中)
出店計画は強気すぎでは?と思いますが、ビジネスモデルの筋が良く株価も安いので、悪くないと思います。
引用元:すぽさん投資ぶろぐ(旧サイト)
達成状況
2014年に発表された意欲的な中期計画がどうなっているのか、追いかけたいと思います。
2016年6月期1Q まさかの減益
中期計画発表後の1年は業績・株価ともに順調に成長しました。しかし、2016年6月期の1Qにまさかの減益決算が発表されました。決算前から下げていた株価は、この決算を受けてさらに下がっていきます。
非常によくない決算ですね。売上高に関しては、月次売上から業績予想に対しての進捗率が届いていないのは予想されていましたが、まさか減益になっているとは個人的にはサプライズでした。
引用元:割安株投資研究所
2016年6月期4Q 利益率改善
2016年6月期はもうダメではないかとも思われましたが、4Qになって利益率が改善し、業績が回復します。この傾向が2017年6月期になっても続き、株価は回復していきます。
この利益率改善について、またしても紅の鹿さんブログで詳しく解説されています。
ここでポイントとなるのは、ゲンキーが2015年2月から新たに始めた小商圏型の中型店(※以下、New300坪タイプと呼ぶ。)です。
New300坪タイプは、店舗サイズ、レイアウト、店内作業、営業時間がすべて同じ「完全標準化店舗」です。
物流、陳列、発注、補充などの作業を単純化、標準化することでローコストオペレーションを実現しています。
引用元:紅の鹿の日記
これまでゲンキーは大型店舗を中心に出店していました。それが中期計画での店舗倍増・営業利益3倍に向けて、New300坪タイプと呼ぶ中型店を大量出店する方針にしていたのです。
この新しい店舗が大量にオープンすることで、出店費用・初期費用が嵩み、2016年6月期の利益率が下がり、減益決算になったようです。そして2016年6月期4Q以降、New300坪タイプの大量出店が利益に貢献し出します。
レギュラー店(※New300坪タイプのこと)の出店についての藤永社長のコメントです。
・シェアが小さいエリアでは約1年で損益分岐点を超えた
・自社店舗が多いドミナントエリアでは約9か月で損益分岐点を超えた
引用元:紅の鹿の日記
New300坪タイプの出店と、赤字店舗・黒字店舗の推移についての考察は必見です。
四半期毎に赤字店舗比率は低下しています。
言い換えると、四半期毎に黒字店舗が増えています。
赤字覚悟で出店していたNew300坪タイプの黒字店舗化が次々に進んでいます。
引用元:紅の鹿の日記
2017年6月期は営業利益38億円の着地
2017年6月期については前年度比+45%営業増益と大幅な増益を達成したものの、当初の中計目標60億円には全く届かず、38億円での着地となりました。
2020年6月期:営業利益2倍化計画
ゲンキーは、2020年6月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画を発表しています。
2020年6月期において、売上高1,600億円(年率+24%成長)、営業利益80億円(年率+28%成長)を目標値としています。
3年間で営業利益を2倍化する計画で、前回の大幅未達にも関わらず、今回も強気の中計となりました。
下方修正
初年度となる2018年6月期においては、+14%増収、+7%営業増益に留まっており、早くも中計目標を下方修正しています。
ローリングされた中計では、2021年6月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画となっています。
2021年6月期において、売上高1,600億円(年率+19%成長)、営業利益80億円(年率+25%成長)を目標値としています。売上・営業利益ともに実質的に1年後ろ倒しとなりました。
株主優待は自社商品またはカタログギフトまたはお米等
過去に東証1部昇格後にゴタゴタのあった株主優待ですが、2017年3月現在も続いています。2017年3月13日に株式分割が発表されましたが、分割後も100株で株主優待を行う姿勢は立派です。過去の過ちをしっかり反省しているのではないでしょうか。
株主優待は年2回(6月12月)で自社商品またはカタログギフトまたはお米等がもらえます。
- 100株以上で以下から選択
- 6,000円相当の自社グループサプリメント
- 6,000円相当の自社グループ化粧品
- 3,000円相当のカタログギフト
- 福井県産コシヒカリ5kg
- 2年以上の継続保有
- 自社商品券2,000円分を追加
2017年12月の株主優待は4種類からの選択でした。
下記A〜Dの中からいずれか1つを選択
A.ゲンキーオリジナル健康サプリメント 「アレル・リボーテ(EPA&DHA)約 30 日分」2 個セット(6,000 円相当)
B.ゲンキーオリジナル COLORADO 化粧品 3 点セット(6,000 円相当)
C.カタログギフト(3,000 円相当)
D.福井県産こしひかり 5kg
引用元:主婦りんごの株主優待生活
自社商品を選んだ方が利回りは高いとコメントされており、自社グループ化粧品を選択されています。
「St・コロラドプライムD+美容液」と「St・コロラドプライム保湿クリーム」のセットです。それぞれ2,880円の商品です。
引用元:「マイホームへの道」株主優待・ふるさと納税で豊かな生活
自社グループサプリメントを選択されています。
いつもDHA/EPA含有サプリメントのアレル・リボーテを選んでましたが、今回は1年半ぶりの権利取りでした。
引用元:ハルクの株主優待&株主総会日記
一方で、高利回りとはいってもサプリも化粧品も不要であるため、カタログギフトを選ぶ方も多いと思われます。
私は「3,000円相当のカタログギフト」を選びました!
金額的にはゲンキーの自社商品の方が良いのかもしれませんが、
「サプリメントと化粧品かぁ、、、使わないな、、、」
引用元:サラリーマンが株式投資で資産形成
総合評価
福井地盤のドラッグストアで食品を強化しつつ店舗数を増加させて成長しています。中計目標が常に過大となっている感が否めません。
2018年7月時点でPER17.2倍/PBR2.64倍となっています。2桁成長を見込む水準です。
2018年6月期の決算が発表され、前期未達・今期21%増益・中計1年後ろ倒しという内容で、-10%超の暴落となっています。前期が7%営業増益での着地となっており成長鈍化が懸念されるため、株価は下落トレンド入りと思われます。
配当の評価は最低ながら、株価と優待内容は高めの評価となっています。
株価(4,030円)★★★★☆:5,000円まで行きましたが
配当金(0.50%)★☆☆☆☆:少なすぎです
優待内容 ★★★★☆:高利回りの優待です
参考指標:PER 16.8倍、PBR 3.59倍
総合得点(15点満点):9点※データは2017年11月13日終値時のものです