J. フロント リテイリングは、百貨店の大丸と松坂屋が統合。子会社にパルコ。建て替え中の心斎橋店本館は19年秋に再開業。
2017年2月期で6年連続増配です。株主優待は大丸・松坂屋の買物優待カードやパルコ買物優待券です。
J. フロント リテイリングの概要と個人投資家ブログの意見をご紹介します。
目次
不動産を保有する百貨店
インバウンド消費の剥落
斜陽産業と言われる百貨店において、近年のインバウンド・爆買いは明るい兆しとなりました。
しかし、その効果も長くは続かず、インバウンド消費は剥落したと見られています。
J.フロント リテイリングの業績は、ここ数年はインバウンドの拡大にあわせて伸びてきましたが、今期は足踏み状況です。
今後も、日本への観光客は増えるかもしれませんが、モノ⇒コトへの消費に変わりつつある中で、なかなかインバウンドに期待するのは難しそうです。
旗艦店の休業
2017年度2月期の決算では減収減益に沈みました。
インバウンド消費の剥落も然ることながら、旗艦店である大丸心斎橋店、パルコ渋谷店が建替休業期間になっていることが響いたとされています。
筆頭旗艦店の大丸心斎橋店とパルコ渋谷店が建替休業期間にかかったほか、インバウンド効果の剥落もあり、堅調な大丸東京店や、パルコ仙台2の開業等では埋められませんでした。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
デベロッパー事業の存在感
斜陽となっている百貨店事業ではなく、注目されるのはデベロッパー事業としての存在感です。
2017年には、松屋銀座店後の商業施設開発として「GINZA SIX」を開店させています。
「GINZA SIX」は当社単独の案件ではなく、森ビル、L キャタルトン リアルエステート、住友商事によるものですが、持ち分の賃料収入がある見込みです。
J.フロント リテイリングは異例の存在で、従来の百貨店の枠を超えた、デベロッパー事業への切り替えを進めています。
その象徴が、パルコの買収であったり、松坂屋銀座店跡の商業施設開発です。
さらに、2017年秋には松坂屋上野店新南館が開業予定となっており、賃料収入が大きく効いてくるとされています。
このように、J. フロント リテイリングの強みは、不動産を保有することで、賃料収入を得られることにあります。また、資金難の場合には売却することも可能ですので、比較的財務基盤の厚い企業とも言えます。
当社や三越伊勢丹は、百貨店の銘柄の中でも不動産保有の
比率が相対的に高く、賃借物件の多い髙島屋や丸井辺りと比べると、含み
資産の観点に於いてその差は歴然としていますし、売ることは無いにせよ
「GINZA SIX」も区分なので、資金需要に応じて少しずつ換金することすら
可能ですので、そういう点はB/S的に別途評価することは可能です。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
不動産事業を伸ばす中期経営計画
2021年度を最終年度とする中期経営計画を発表しています。
2017年度よりIFIS移行することで比較がしにくくなっていますが、営業利益ベースで2016年度実績417億円から、2021年度目標560億円としています。年率で6%成長です。
今期から新5年中計もスタートしており、最終年度の2022年2月期に
営業利益560億円(CAGR6%)を見込んでいます。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
この利益成長を達成する事業ポートフォリオとしては、不動産事業およびクレジット金融新規事業に注力するとされています。
百貨店・パルコ事業への依存度を下げ、不動産事業・クレジット金融事業による安定的な収益構造へと脱却できるかがカギとなりそうです。
株主優待は優待カード等
J. フロント リテイリングの優待は割引であるため、使えば使うほど優待の価値(利回り)が高まります。
普段から大丸や松坂屋で買物する機会がある個人投資家にとっては、有用な優待と言えそうです。
「大丸」「松坂屋」買物優待カード(10%割引)
「大丸」「松坂屋」買物優待カード(10%割引)については、保有株式数に応じて買物限度額が変わっています。
- 100株以上 年間50万円まで
- 500株以上 年間100万円まで
- 1,000株以上 年間200万円まで
- 4,000株以上 年間500万円まで
加えて、長期優遇として、3年以上継続保有の場合、上記の限度額が100万円増えます。
現金または指定クレジットカードでの支払いに限定されたり、割引除外品などもあったりしますが、いつでも10%割引というのはとても嬉しい特典ですね。
生鮮食品にも適用開始
2017年6月以降については、これまで適用されていなかった生鮮食品にも10%割引が適用となりました。
これで海産物、肉、果物の買い物も10%割引になるので、この優待拡充はありがたいです。
引用元:「マイホームへの道」株主優待・ふるさと納税で豊かな生活
意外に魅力?有料文化催事・有料展覧会が無料に
「大丸」「松坂屋」買物優待カード(10%割引)は、別の使い方として、各店の有料文化催事および「パルコ」の有料展覧会の無料入場カードとしても利用できます。
これは株主本人と同伴1名まで適用してもらえます。
こちらを目当てとして優待取得をされている方もいます。
Jフロントの優待カードがあれば、「大丸」・「松坂屋」各店の有料文化催事および「パルコ」の有料展覧会にも無料で入場できるので、私はどちらかというとそちらにも惹かれてしばらく前に参戦しました。
引用元:みきまるの優待バリュー株日誌
「パルコ」買物優待券(100円割引)40枚
100株以上保有で一律で40枚となります(2月)。
ただし、8月末の新規株主に対しても20枚としており、新規株主への配慮が伺えます。
こちらの買物優待券は2,000円毎に1枚使えるため、実質的には5%割引と言えます。
1つめのカードと比べると使い勝手は悪そうですが、バッグや靴を買えばそれなりの金額になるので、活用する場は意外とあるかと思います。
総合評価
暗い先行きが想定されている百貨店業界にあって、都心の一等地に不動産を所有し、不動産事業への転換を図る当社は強みのある企業です。
M&Aによる事業拡大や連続増配を達成している点で経営陣は評価できると思います。
2018年5月時点でPER15.2倍/PBR1.52倍となっています。中計の通り、不動産事業・クレジット金融事業へとポートフォリオを転換し、安定収益+増配を続けることができれば、見直し買いの余地もあるものと思われます。
優待目的にホールドするとされています。
優待を楽しみにのんびりとホールドしていく予定です。
引用元:みきまるの優待バリュー株日誌
あまり評価は高くはないようです。
株価(1,665円)★★☆☆☆:半分くらい戻ってきました
配当金(1.6%)★★☆☆☆:ちょっと少な目
優待内容 ★★☆☆☆:あまり役立てていないです
参考指標:PER 17.5倍、PBR 1.11倍
総合得点(15点満点):6点
※ データは平成29年2月10日終値時のものです
引用元:「マイホームへの道」株主優待・ふるさと納税で豊かな生活
増配を評価しつつも、5年中計の初年度となる2017年度は様子見姿勢としています。
株主還元姿勢も強まっており、配当性向30%基準に則し、実績期は2円の記念配当を含むものの、28→35円へ7円も増配しています。今期はこの35円を全て普通配当へ切り替えるものの、“名実ともに”8期連続増配を実現するため期末までに36円+まで再増配してくる可能性が高いものとみられます。
引用元:なちゅの市川綜合研究所