日本航空(JAL)は、国内線、国際線ともに2位。公的資金投入とリストラで更生法終結。豪カンタスと格安航空合弁。
2010年に破綻し、2012年に再上場したことによる好財務と、法人税減免の恩恵により、良好なファンダメンタルズに生まれ変わりました。株主優待は株主割引券です。
JALの概要と個人投資家ブログの意見をご紹介します。
フラグシップ・キャリア復活なるか?
破綻と再上場
JALは2010年に会社更生法を申請し、破綻しました。
その後、京セラ・KDDIを創業した名経営者である稲盛和夫氏を迎えて、再生へと動き出します。
そして、早くも2012年には再上場を果たしました。
債権放棄により有利子負債が圧縮され、経費削減も進んだことで、利益の出る体質に改善されました。
上場後1年で早くも実質無借金状態にまで財務が改善しました。
その後も、法人税減免がなされていることもあり、キャッシュを積み上げ、自己資本比率の右肩上がりが続きました。
2017年3月期においては、ネットキャッシュは3,000億円を超え、自己資本比率は56%にまで改善しており、既に好財務と言われる領域にまで達しています。
外部環境
世界中の量的緩和のマネーから生まれた原油高が一段落し、2014年中盤から下落を始め、半値以下にまで売り込まれました。
この原油安の恩恵を受けるのがJALなどの空運業界です。
これに加えて、インバウンドが国家戦略として持ち出され、訪日外国人客が右肩上がりを続けたことも恩恵となっています。
優待だけで株価を維持していると揶揄されていたJALやANAですが、上記の恩恵により、業績を伴った銘柄となってくれたと評価されています。
「JAL、ANA、マクドナルド、シベール。こんなのは優待だけで株価を維持している 大馬鹿四天王 だ。こんな銘柄を買うやつはアホだ。だから嫌いなんだ。」
というようなご意見を戴くことがあったのですが、今回その内のJALとANAがまさかの原油安とインバウンド(訪日外国人客)関連で大きく浮上し、まともな銘柄になってくれたことにホッとしています。
引用元:みきまるの優待バリュー株日誌
JAL vs. ANA
よくブログで取り上げられている事項として、JALとANAのどちらが良いのか?という議論があります。
2015年度~2016年度での比較をされているブログがありましたのでご紹介します。
売上高や総資産からするとANAの方が大きいのですが、JALの方が収益性・安全性(財務)が高いと分析されています。
売上高をとっても総資産をとっても、ANAの方がJALより大きいのが一目瞭然です。
しかし、それよりも驚いたのが、JALの方がANAよりも圧倒的に収益性・安全性ともにいいこと。
引用元:会計士の気まぐれ日記
上記のような違いの要因として、ANAは路線拡大を図っており、JALは座席利用率向上を図っている戦略の違いであると分析されています。
ANAが路線拡大等により規模の拡大を図っているのに対して、JALは利用率を高めるために堅実に就航路線を選択しているため、JALの方が収益性が優れているのだと判断できます。
引用元:会計士の気まぐれ日記
中期経営計画に失望感
2017年4月には、2017年度~2020年度JALグループ中期経営計画を発表しました。
この内容がかなりコンサバなもので、利益成長への意欲が見られず失望感を呼びました。
今回新たに公表された新4年中計で、「営業利益率10%を維持(※直近5年は14%)」という意欲のない定量目標が示され、4年で国際線ASKを23%伸ばす計画(※20年の羽田発着枠追加で達成可能)であるものの、そのわりに利益が全然ついてこない計画となっています。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
「8.10」ペーパーの存在により、わざおコンサバな中計を出した可能性も指摘されています。
「8.10」ペーパーの存在により、20年の羽田発着枠で不利配分を食らわない様にわざとコンサバな中計を出した可能性もありますが、定かではありません。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
しかしながら、8.10ペーパーは2016年度までJALを国の監視下に置くというものであり、2016年度末を持ってその効力は切れたはずであり、20年の羽田発着枠で不利配分を食らうはずはありません。
8.10ペーパーは別として、法人税減免により純利益を荒稼ぎしているJALに対して、ANA陣営は不満を漏らしており、その解消として20年の羽田発着枠で不利配分を食らう可能性もあるとは言えそうです。
株主還元を強化
2017年度の予算と、2020年までの中計が失望され、JAL側もマズイと考えたのか、配当性向を引き上げました。
会社側もこの今期予算と中計はさすがにマズいと考えたのか、緩衝材として、配当性向25→30%への引き上げと、中間配の実施を表明していますが、肝心の配当額が減益前提のため94→90円に減配となってしまっています。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
また、2017年度1Q決算において、早くも配当予想を切り上げ、増配見込みが出てきました。
- 2016年度実績 年間94円
- 2017年度当初予想 年間90円
- 2017年度1Q決算予想 年間96円
株主優待は株主割引券
株主優待は保有株式数に応じて株主割引券が貰えます。
この株主割引券によって、国内線普通運賃の50%割引となります。
3月末と9月末の年2回優待ですが、合計すると、100株毎に1枚もらえる仕組みとなっています。(1,100株以上、100,000株以上ではまた仕組みが変わりますが、個人投資家でそれくらい大量に保有する方は稀だと思います。)
また、長期優遇制度も存在し、3年以上の継続保有で以下の枚数がプラスされます。
- 300株以上 各基準日に1枚(年間2枚)
- 1,000株以上 各基準日に2枚(年間4枚)
- 10,000株以上 各基準日に3枚(年間6枚)
それでは、何株保有するのが最もお得なのかというと、個人投資家のレベルで保有しうる1,000株までを考えると、
- 3年未満 何株でも同じ
- 3年以上 300株が最もお得
となります。
以下のブログにてグラフつきで詳しく説明されています。
次に3年以上保有した場合だ。
赤い線を見て頂きたい。
こちらは一気に様子が変わる。
3単元(300株)の保有が最もお得になる。
引用元:イケてる航空旅行研究所
総合評価
業績・財務ともに安定的に推移しており、原油安やインバウンドの外的要因もあって、投資・ホールドするにあたっては安心感があります。
パイロット等の人材確保や、機体確保・整備等の設備投資が続くため、売上は伸びても、同様に費用も伸びるため、利益成長は見込めそうにありません。
保守的な中期計画であったのは上記の理由によるものと思われます。
好財務を活かして、今後は利益成長ではなく、株主還元が重点になってきそうです。
優待族的には超鉄板銘柄であると評価されています。
いずれにしてもJALは優待族的には超鉄板銘柄ですし、全く問題なくホールドしていけるレベルのファンダメンタルズでもあります。これからも現行の優待制度が続く限りは一定程度は保有継続の予定です。
引用元:みきまるの優待バリュー株日誌