日本たばこ産業(JT)は、たばこが事業の中核。M&Aで海外たばこ事業を拡大中。食品・医薬品も展開。飲料事業撤退。
10年以上の連続増配株で、配当重視の個人投資家から人気があります。株主優待は自社グループ商品の食品等です。
JTの概要と個人投資家ブログの意見をご紹介します。
目次
国内シェア6割、世界第4位のたばこメーカー
キャッシュカウの国内事業、成長ドライバーの海外事業
たばこが嫌悪されて久しいですが、未だに喫煙者は一定数存在しています。
国内たばこのシェア60%を占めるのがJTであり、国内事業はキャッシュカウとなっています。
国内シェア60%くらいで堅調な推移ってところです。ほぼ独占力があると見て良いでしょう。これなら十分に「ブランド力がある」と言ってしまっていいのではないでしょうか?
引用元:にわか投資野郎の駄目な日常
国内では圧倒的シェアを占めるJTですが、世界で見れば第4位のたばこメーカーです。
世界的にはタバコ事業者のM&A・再編が進んでいます。
JTも海外たばこメーカーをM&Aすることで販売エリア拡大・販売ボリューム増によってトップラインを伸ばしながら、たばこ工場再編などの効率化によるコスト削減によって利益を創出しています。
海外たばこ事業が成長のドライバーです。
2017年はかねてより取り組んできた製造体制の最適化によるコスト削減効果等により、
調整後営業利益は+9.1%と引き続き力強い利益成長を見込んでいます。
引用元:RYUの投資日記
電子タバコが未来の業績を握る?
2016年にはアイコス(iQOS)が一大ブームとなりました。
アイコスとは、フィリップ・モリス(米国たばこメーカー)の電子タバコの商品名です。
遅れながらJTも、ブルーム・テックという商品名で、電子タバコの販売に乗り出しました。
2017年10月からは本格拡販する計画であり、当社経営陣からの自信が伝わってくると期待されています。
この10月末から東京都下で本格拡販する計画(取扱店100→400店)であり、11月にはコンビニでもカプセルの販売を開始します。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
たばこの受動喫煙が大きな問題となる中、電子タバコは受動喫煙の影響が明らかになっておらず、法規制の対象外とされています。
電子たばこには二種類あって、タバコの葉を直接過熱し、熱から出た煙を愉しんだり、液体を過熱してからタバコ葉を通す「タバコベイパー」と呼ばれるものと、ニコチンを含んだ液体を過熱して蒸気を吸う「電子たばこ」がある。
タバコベイパー:タバコの葉を直接吸う
電子たばこ:ニコチン入りの液体を吸ういずれも燃焼させないため、周りの人にタバコの害が従来よりかなり低減される(とたばこ会社は主張しているが、果たして厳しい世間の目は?)
引用元:「配当金を雪だるま式に増やす投資日記」 ~Dividend Snowball Investing~
電子タバコは、既存のたばこと比べると物足りないという喫煙者の意見もあるようです。
友人に聞いてみたところiQOSはバッテリーがあまり持たないんですね。しかも「軽い=ガツンとこない」らしいんです。私の周りのユーザーはiQOSを二個買うか、結局普通のタバコと交互に吸ってチェーンスモークしています(笑)。だから、すくなくとも法律で重罪にでもならない限り、旧来のタバコユーザーはいなくなりません。
引用元:にわか投資野郎の駄目な日常
しかし、昨今の健康志向や受動喫煙への注目の高まりを考えるに、電子タバコへの切り替えは進んでいくものと想像します。
そうすると気になるのは、電子タバコはたばこメーカーにとって儲かるのか?という点です。
税制面から見て、「ぼろ儲け」になるということが以下のブログで詳しく書かれています。
私は従来から「電子たばこ・たばこベイパーって、結局儲かるの???」というのが疑問点であった。しかし、以下の解説だと「ぼろ儲け」になることが分かった。
引用元:「配当金を雪だるま式に増やす投資日記」 ~Dividend Snowball Investing~
とはいえ、税制面の変更や、たばこ嫌悪層からの攻撃などのリスクも多いと指摘されています。
もっとも、こんなぼろ儲けを自民党の税調あたりが見逃すとも思えないので、税率の変更などの政治圧力の存在も十分気を付けなければならないだろう。
さらに、タバコと聞けば何でも反対する層(日本より欧州に多いが)からの、「とにかくたばこはすべて反対」攻撃をどこまで防御できるのか、などリスク要因も多い。
引用元:「配当金を雪だるま式に増やす投資日記」 ~Dividend Snowball Investing~
たばこ以外の事業も好調
JTは採算が悪かった飲料事業から2015年に撤退を決めました。
桃の天然水やルーツといったヒット商品を持ちつつも、競争激化による採算悪化から撤退を英断しました。
不採算事業を抱えがちな日本企業とは違って、JTの経営は海外企業のような効率性を感じます。
たばこ以外の事業として残っているのは、医療事業と加工食品事業ですが、これらは好業績となっています。
たばこ事業に比べるとインパクトにかけるものの、JT社の利益底上げに貢献しています。
医薬事業は100億円を超える増益(黒転)、加工食品事業は4期連続の利益成長となりました。
医薬の好調は抗HIV薬の導出品のロイヤリティ収入増加、開発進展に伴う一時金収入によります。
引用元:RYUの投資日記
JTの魅力は連続増配銘柄
上記のように、JTは長年に渡ってキャッシュを稼ぎ続ける企業となっています。
これを端的に示すのが、10年以上の連続増配銘柄であるということです。
そのため、配当金を目的とした超長期投資の対象として個人投資家からの人気は高いです。
連続増配という点では海外たばこメーカーも同様であり、米国・英国のたばこメーカーを同時に保有する個人投資家も多いようです。
アイコスを発売しているアルトリア・グループも保有されているブログです。
iQOSはアルトリア・グループの商品なので、仮に旧来のタバコが全滅して電子タバコ一色になっても、どっちみち私のリターンになります
引用元:にわか投資野郎の駄目な日常
為替リスクもあるため、フィリップ・モリス、アルトリア・グループも保有されているブログです。
個人的には為替リスク対策もあるので、今のままがいい(ドル高になるとMOに分があり、PMが逆風となるが、ドル安になるとPMに追い風)。
PM、MOは引き続きホールド。JTは今のうちに買い増しも検討している。
引用元:「配当金を雪だるま式に増やす投資日記」 ~Dividend Snowball Investing~
配当利回り5%突破
2018年度見通しの悪さや、市場全体の暴落もあり、JTの株価が下落を続けています。
2018年3月時点で、株価は3,000円割れまで下落し、配当利回りは5%を突破しました。
株価が下がり続けていることについては、需給面の指摘があります。
配当利回りが高いので、下値が限定されているとして少しでも下がると大量の信用買いが入って、少しでも上がるとやれやれ売りが出る、この繰り返しで上値が重くジリジリ下がり続ける典型的な超大型株の値動きになっています。
その反面、配当利回りに注目した個人投資家の買いが発生しているようです。
さすがに配当利回り5%は魅力的です。
引用元:三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイア目指してみた
絶賛緊急降下中の日本たばこ産業をお買上げ。
引用元:40代派遣でもインデックス投資でアーリーリタイアを目指してみる
『【高配当株】日本たばこ産業(JT:2914)を超詳しく分析してみたよ!』と題して、改めてJTについて広範囲の分析をされています。
個人的には5%利回りが入るなら買ってみてもいいと思います。
引用元:和波の投資生活ブログ
現在のJTには悪材料が多く株価下落となっていますが、配当利回り5%突破が悲観の極みとなるのか、それともまだ下を掘るのかは分かりませんが、余裕資金で購入しておけば何とかなるのではないかと思っている個人投資家も多そうです。
悪材料というのはある程度時間が経過して事態が好転すれば好材料に変わるので、悲観の極みで株価が下落しきった所で配当利回りを足がかりに買っておけば、なんとかなるでしょう、たぶん。
株主優待は自社グループ商品
株主優待は年2回(6月12月)に自社グループ商品が貰えます。レトルトご飯や、スープの素などです。
保有株式数に応じて選べるセットが異なります。
かつては飲料水部門がありましたので飲料も優待としてあったのですが、当該部門を売却してしまいましたので、優待からも消えてしまいました。
かつては清涼飲料水部門を保有しており、その詰め合わせが年に2回のお楽しみだったのですが、残念ながらその部門は昨年撤退してしまっていますね。それに伴い、清涼飲料水詰め合わせも優待の内容から消えてしまっています。
引用元:DividendLife!
超大型株であるため、逆日歩が付きにくく、制度信用取引によるクロスでの優待取得を行う個人投資家も多いようです。
日本たばこ産業(2914)から優待案内が到着しました。
制度で200株クロスし、次の4つの中から選択できます。
引用元:ぼちぼちの株主優待
総合評価
10年以上の連続増配銘柄であるため、配当金目的の個人投資家には必須の銘柄と思われます。
配当金目的であれば分散投資は必要ですので、世界でシェアを争う、アルトリア・グループ、フィリップ・モリスも同じように保有すべきではないでしょうか。
業績安定度が高く、他は普通の評価となっています。
【 きびなごの格付け 】 C
〔A~Eの5段階評価で、Aが最高・Cが普通・Eが最低〕
●業績安定度:B
●財務安定度:C
●配当利回り:C
●割安度:C
たばこ事業及びJTには多くのリスクがあるものの、それらを乗り切る力があると評価されています。
欧州のたばこ規制の本格導入の影響、ロシアの不安定さ、日本の総需要減少継続と課題は山積です。
政府による売り出し懸念もあります。
しかし、それらの課題を乗り切る力が当社にはあると思っています。
引用元:RYUの投資日記
海外買収は一定の評価があるものの、やはり巨額ののれん代は怖いとも指摘されています。
あと怖いのは1.6兆円に上る巨額のれん代でしょうか・・・当社の海外買収は某大手通信会社のそれと比べると一定の評価がなされる場合が多いですが、それでも最近はやや大味感のある買収が続いており、IFRS減損リスクが付いて回ることは頭の片隅に入れておく必要があります。
引用元:なちゅの市川綜合研究所