片倉工業は、1873年に繊維で発祥。現在は、医薬品、消防車等機械も。商業施設の開発・運営・賃貸等の不動産が利益の柱になっています。
長い歴史を持つ会社で、不動産の含み資産が時価総額を上回るコングロマリットディスカウント状態となっています。その意味でバリュー株に分類しています。
片倉工業の概要と個人投資家ブログの意見をご紹介します。
不動産含み益とコングロマリットディスカウント
1873年に繊維で発祥した片倉財閥が設立したのが片倉工業です。世界遺産となった富岡製糸場を運営していました。
現在は、医薬品や機械、不動産と手広く事業を行っています。中でも収益の柱は不動産です。
含み資産銘柄
片倉工業は、各地に不動産を所有しており、賃貸に出すことで収益を得ています。
また、不動産の含み益も膨大になっており、時価総額よりも不動産含み益が大きい状態が続いている含み資産銘柄として知られています。
東京駅近くの京橋の一等地にある東京スクエアガーデンだけで借金を完済できてしまうほどです。
賃貸不動産の含み益はおよそ870億円はあるものとみられ、京橋の一等地にある新築の東京スクエアガーデンは簿価ベースで110億円の価値がありますので、これ一つ売れば当社の抱える有利子負債の約150億円はほぼ完済出来て
しまう状況です。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
他にも数々の土地・物件を所有しており、そこから収益をあげています。
コクーン2・3や松本1.9万坪以外にも、コクーンの周辺でニチイ学館
に介護施設12百坪を賃貸したり、三鷹でも大型賃貸マンションを開発
するなどしており、今期はその両物件とも通期稼動となります。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
コングロマリットディスカウント
膨大な含み資産を持ちながら、利益率が低い(悪い)事業を多く抱えており、典型的なコングロマリットディスカウントの状態にあります。
そこに目をつけてヘッジファンドのオアシス・マネジメントが片倉工業の株を3%保有しており、ROE重視や不採算事業撤退等の株主提案を行っています。
当社の達成する意欲をまるで感じさせない
中計に痺れを切らし、目下パナホームや任天堂で売出中のヘッジファンド
である香港籍のオアシス・マネジメント(当社株3%保有)が、期末の総会で
ボコボコにこき下ろす株主提案を行いました。要は利益率が低過ぎるので、
ROEコンシャスの経営をして、不採算事業は撤退しろ・・・という内容でし
た
引用元:なちゅの市川綜合研究所
上記の株主提案はすべて否決されました。不採算事業を切り離したり、不動産をバラ売りしたりできればコングロマリットディスカウントは解消されていくことも考えられますし、現在のように株価低迷の状態にあるのは株主軽視と見られても仕方ないことのように思います。
会社側の経営姿勢が株主の方向に向いてくれば、ディスカウントが解消されることによって投資妙味も高いと言われています。
当社の不動産含み益とコングロマリットディスカウントはもの凄いので、
万一、会社側姿勢に変化が見られるようなら、投資妙味が高いと言えます。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
中期経営計画
中期計画を5年ごとに発表していますが、最終年度を2016年度とする中期計画は大幅な未達となりました。業績に関しては不信感が募っています。
5年中計「カタクラ2016」の最終年度でしたが、定量目標の売上高
610億円・営業利益42億円に関しては大幅未達となりました。今回新中計
である「カタクラ2021」を新たに策定しており、5年後の売上高を566億円、
営業利益を52億円で計画しています。営業利益率が直近実績3.2%→9.2
%に急改善する青写真を描いており、医薬品と不動産で牽引する計画です。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
片倉工業は、2021年12月期を最終年度とする5ヵ年の中期経営計画を発表しています。
2021年12月期において、売上高566億円(年率+4%成長)、営業利益52億円(年率+28%成長)を目標値としています。
売上はともかく、利益成長は著しい目標となっており、利益率を急改善する見通しです。
しかしながら、1年経過後も目標への進捗状況は見えないと指摘されています。
営業利益率を2016年12月期の実績値である3.2%から9.2%に急改善する青写真を描いており、医薬品と不動産で牽引する目論見となっていますが、今期も前の期に続いて子会社等のリストラ期間に位置付られているため、1年経過したものの、目標への進捗具合が見えない状況です。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
株主優待は自社製品等から選択
2014年に株主優待を新設しました。株主重視の経営への一歩ですね。
株主優待の内容は、以下から選択となります。3年以上継続保有で2品選択できます。
- 紳士肌着
- 婦人肌着
- 国産はちみつ(1個)
- コクーン新都心お買い物券
- 富岡製糸場への寄付1,000円相当
どの選択肢を選んだ方も概ね満足されているようです。
紳士肌着を選択されたブログです。
画像の見た目以上に洒落たデザインです。気に入っています。
引用元:株主優待とスイングトレードでROI20%を目指すブログ
婦人肌着の選択されたブログです。
もう少しおばちゃんぽいかな?と思ったのですが
試着してみるとスッキリしていて、なかなか重宝しそうです♪
引用元:小坊主の優待日記
はちみつを選択されたブログです。
受け取ったときは、はちみつにしては軽いなと思ったんですが、あかしあのはちみつは高級品みたいですね。
180gが入ってる小さな瓶ですが、調べてみると税込1404円で売ってありました。
引用元:株主優待一直線
総合評価
PER/PBR/ROEといった指標的には魅力はありませんが、片倉工業の魅力は膨大な含み資産が時価総額の2倍以上に達していることです。
会社の経営姿勢が株主重視に切り替われば、このディスカウントは解消され株価上昇につながっていくと思われますが、今のところ兆候は見えず、往年の含み資産銘柄となっています。
2018年5月時点でPER48.9倍/PBR1.96倍と指標的な割高感がありますが、上記の期待が根強いということの現れであると思われます。
会社を丸ごと買ってバラして売れば儲かるという銘柄が大好きと語られています。
片倉工業は指標的には今一歩ですが、長い歴史のある会社で膨大な含み益(多分1000億円以上)が賃貸不動産や土地にあります。その一方で時価総額は僅か400億円程度に過ぎません。こういう、「会社を丸ごと買い取ってバラして売ったら儲かる」、「片倉的」な銘柄が、私は「控えめに言って大好き」なんですね。
引用元:みきまるの優待バリュー株日誌
全体的に評価は普通~低いです。片倉工業の魅力はやはり含み資産だけと見なされていると思います。
【 きびなごの格付け 】 C
〔A~Eの5段階評価で、Aが最高・Cが普通・Eが最低〕
・業績安定度:C
・財務安定度:C
・配当利回り:D
・割安感:C