中村超硬は、太陽電池やLEDウエハ切断用のダイヤモンドワイヤが主力。中国向け中心に海外販売が過半。
株主優待はありません。
中村超硬の概要と個人投資家ブログの意見をご紹介します。
目次
業績と株価の振れ幅が大きすぎる
事業内容
中村超硬は、ダイヤモンドワイヤの開発・製造・販売を主力としています。太陽光パネルの主要パーツであるシリコンウエハを塊から切り出す工具として使用されるのがダイヤモンドワイヤです。

http://www.nakamura-gp.co.jp/product01.html
中村超硬ではダイヤモンドワイヤを製造するだけでなく、シリコンウエハのスライス加工事業も行っています。
加工を行う際の量産検証結果を開発に直接フィードバックできるため、性能の改善を迅速に行うことが強みとなっています。
つまり、ダイヤモンドワイヤをつくる技術と、ダイヤモンドワイヤをつかう技術がシナジー効果となっています。
業績不安定で株価も急騰・急落
2016年3月期:IPOでマザーズ上場から急騰
中村超硬は、2015年6月にIPOでマザーズへ上場しました。
上場直後は横ばいであった株価ですが、2016年3月期が増収増益となることを織り込んで株価は上昇していきます。
このとき株価は2,000円→6,000円へ3倍になりました。
2017年3月期:大赤字で急落
業績好調で株価も3倍となりましたが、一転、2017年3月期は前年度分を軽くふっとばす最終赤字に転落してしまいます。
大口顧客のGCLグループという中国企業が離れてしまったとコメントされています。
前期は大口のお客さんが離れてしまいまして大赤字に終わってしまいました。
引用元:KabuBerry
この赤字を織り込む形で株価も急落となります。
株価は6,000円で天井を打ち、IPO初値も割れて1,000円ほどまで下落します。
2018年3月期:業績回復と株価急騰
上場ゴールで終わってしまったかに思われた中村超硬ですが、これまで注力していた単結晶シリコンウエハ向けから、それまでダイヤモンドワイヤが使用されていなかった多結晶シリコンウエハ向けへと転換したことで、一転して業績回復を果たします。
2018年3月期については、2016年3月期を超える売上・利益を計上し、見事に業績V字回復となりました。
さらに、ブラックロックジャパン等の機関投資家による大量保有も報告されると株価は急騰します。
株価は1,000円台で底を打ち、2017年12月には7,000円台まで駆け上がります。
2019年3月期:失速で株価急落
前期に好調であった多結晶シリコンウエハ向けの需要が落ち着き、再度、単結晶シリコンウエハ向けに注力することとなりました。
ただし、現状ではどちらの分野も中国企業の価格攻勢にあっており、業績が不安視されています。
2年でここまで波乱万丈の製造業というのもなかなか無いとコメントされています。
これを時系列で書きますと
単結晶が好調(70µm)
↓
中国企業の価格攻勢にあう
↓
不振
↓
多結晶が好調
↓
中国企業の価格攻勢にあう
↓
不振になりそう
↓
単結晶をメイン(60µm)にするとなります。
二年でここまで波乱万丈の製造業というのもなかなかありません。
引用元:KabuBerry
業績不振を織り込む形で株価は再度急落し、7,000円→2,000円まで落ちたところで、1Q決算発表を迎えました。
果たして、2018年8月に発表された1Q決算は前年度を吹き飛ばす大赤字となっており、通期業績予想も下方修正し、最終赤字となる見込みが発表されました。
翌日の株価はストップ安張り付きとなりました。その翌日、2日連続でストップ安張り付きとなりました。
ブラックロックジャパンによる大量保有と売却
ブラックロックジャパンは、株価が1,000円台の底値圏にあった2016年9月~2017年4月の間に中村超硬の株を買い集めていた模様で、2017年5月に5%以上保有したことで大量保有報告書を提出しています。
その後の株価上昇局面では利確・買い増しを繰り返しながら、天井となった2017年12月には5%未満にまで売却を進めています。
1月10日に提出された5%ルール大量保有報告書で、ブラックロック・ジャパンが保有する中村超硬株を売却していることが判明。最新資料では保有株比率が5.12%→3.48%へ低下、残っている保有株数は173,400株しかないことがわかった。
引用元:株の初心者 日経平均株価予想
その後は株価が下落しだした2018年2月に5%以上の大量保有を報告し、3月には買い増して6.16%に達しています。
それ以降は変更報告がないため、2018年5月以降の暴落は一身に受け止めているものと思われます。
財務はそこそこ
業績不安定の中村超硬ですが、業績好調で株価も高かった2016年3月に公募増資を発表して資金調達を行っており、2017年3月期に大赤字を計上するも、財務はそこそこの状態です。
2018年3月期においては、キャッシュ45億円に対して、借入金は69億円となっており、自己資本比率は45%となっています。
総合評価
ダイヤモンドワイヤが主力の中村超硬ですが、業績と株価の振れ幅が大きすぎます。
2018年8月時点でPER算出不可/PBR1.51倍となっています。赤字予想のためPERは算出不可ですが、四季報予想を用いればPER11.9倍となっています。
2019年3月期1Q決算で大赤字を発表しており、通期業績予想も下方修正となったことから、株価急落は避けられそうにありません。前回の底である1,011円を試す展開が想定されます。