船場は、商業施設の企画・設計から監理・施工までを一貫して手掛けています。売上の20%がイオン系案件となっており、イオンモールと親密です。
2016年IPOで東証2部に上場しましたが、公募割れとなりました。好財務ですが業績は景気変動を受けやすく安定成長は期待できません。株主優待はありません。
船場の概要と個人投資家ブログの意見をご紹介します。
目次
2016年IPO
2016年12月に東証2部へと上場しました。公募価格1,290円に対して、初値1,193円(公募比-7.5%)となりました。
商業施設のスペシャリスト
船場は、商業施設の企画かから販売促進まで、まさに一貫して全ての時間軸で商業施設に関わっています。
50年以上の業歴
2016年IPOながら、船場の設立は1962年と古く、50年以上事業を営んできた地力があります。そのため国内外で広く事業を行うことができています。
国内1,000以上の協力企業と全国くまなく対応できる体制を整えている。
また海外への進出も積極的で、香港・台湾・中国メインランド・シンガポール・ベトナムに子会社を有している。
引用元:IPO中心 ≪公式ブログ≫
イオンやCCCから請け負う
売上の20%を占めるイオン系やCCC(蔦屋)から商業施設の企画等を請け負っています。
しかも、イオンモール内に公営図書館を誘致したり、蔦屋家電の店舗を企画したりと、先進的な取り組みを行っています。
イオンモールが昨年7月に初めてモール内に公営図書館を誘致(※イオンモールつがる柏、
運営は丸善CHI傘下の図書館流通センター)した際にも、MD~設計/監理まで
当社が担った実績があります。この他にも蔦屋家電を含むCCCにも多くの実績
があるため、MD(テナントミックス)や独創性は光るものがあると言えます。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
景気変動に大きく影響される
商業施設の新規立ち上げやリニューアルは、景気が良いときの方が行われるため、船場も景気変動に大きく影響されると思われます。
中計は保守的?
船場は中期計画として、2019年12月期に、売上340億円/営業利益21億円を目指すことを発表しています。この数字は過去にほぼ達成したことがあるレベルであり、保守的であるという意見もあります。
中計として、3年後の2019年12月期に売上高340億円(CAGR7%)、営業
利益は21.0億円(CAGR7%)を予想しています。この営業益21億円というのは
2015年度にほぼ達成した数字のため、保守的な数字と思われます。国内だけ
でもSCの新設・リニューアルで相当な需要が見込まれるほか、海外に関しても
既に香港で30年以上の業歴を有しているものの、当社全体での売上高占有率
は10%に過ぎないため、既存取引先である日系小売業のアジア進出に付いて
いく形で、今後は海外事業の業容拡大が期待出来ます。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
景気変動を大きく受けるとすれば、中期計画の達成の成否についても景気変動が大きな要因となりそうです。また、海外事業の拡大もポイントとなるでしょう。
初年度は未達ペースとなり、その要因は海外事業の成長が想定以下であることと指摘されています。
未達ペースで推移しています。この低進捗は人件費や外注費高騰が主な要因と言えますが、トップラインからショートしているため、海外事業の成長が当初の想定以下で推移していることも一因と言えそうです。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
無借金経営&好財務
業績の安定感については疑問が残るものの、財務については安定感があります。現金も溜め込んでおり、株価が下がれば指標的には割安・バリュー株として注目されそうです。
また、株主優待を実施していないこと、配当性向が低いことから、さらなる株主還元を期待する声もあります。株主優待の実施→1部昇格というパターンにも期待できそうです。
無借金経営を継続しつつ、70億円の現金をため込んでいる圧倒的な財務健全性が魅力です。
配当性向は30%基準で、今期も26→35円と一気に9円増配を予定していますが
同業のスペース(※こちらも無借金で現金じゃぶじゃぶ)が、配当性向50%水準
で還元しているので、更に踏み込んだ株主還元が期待されます。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
東証1部昇格
かねてより、東証2部へ上場してから1年経過する時点での1部昇格が指摘されていました。
足許で着目すべきはその財務ではなく、東証二部に上場してからもうすぐ1年経過することとや、大よその要件をクリアしている点がポイントかと思われます。ラックランド(9612)のような中堅処の会社などを含め、主要な同業他社は全て次のステージに進んでいることなども併せて考慮すると、時期的にもそろそろ意識されてくる頃合かと思います。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
果たして、2部上場からちょうど1年経った2017年12月に1部昇格が決まりました。想定通りということもあり、株価は微増程度となりましたが、上場来高値を付けるなど、概ね好意的に反応しました。
総合評価
安定業績で好財務であり、IPOで初値高騰しなかったこともあり、株価は安定的にゆるやかな右肩上がりを続けています。
東証1部昇格をこなしてしまったことで、逆に、大きなカタリストは不在となり、大きな株価上昇は期待できない状況です。