四季報2018夏号から発掘した銘柄の比較分析【2018年6月】

個人投資家御用達の会社四季報2018夏号が発売され、銘柄研究・銘柄発掘に勤しまれている個人投資家が多いかと思います。

そんな中で、Twitterにて#四季報夏号トーナメントを開催されている方がいらっしゃったので、そこで挙げられた銘柄を比較分析してみたいと思います。

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#四季報夏号トーナメント

ベスト8

すべてを取り上げると銘柄数が多くなってしまうので、ベスト8を比較分析したいと思います。

ベスト8はこちらの銘柄たちです。

  • フルスピード
  • 翻訳センター
  • Hamee
  • シェアリングテクノロジー
  • 日本和装HD
  • アイ・アールジャパンHD
  • ヒロセ通商
  • ブレインパッド

トーナメント戦

#四季報夏号トーナメントは、トーナメント戦形式でTwitter界隈の個人投資家によって、今後1年間の株価上昇がもっとも見込まれ、今買いたい銘柄の方に投票することで、勝敗がつけられていきました。

準々決勝~決勝までの結果は以下の通りです。

準々決勝

  • フルスピード vs. 翻訳センター      ⇛ 翻訳センター
  • Hamee vs. シェアリングテクノロジー    ⇛ シェアリングテクノロジー
  • 日本和装HD vs. アイ・アールジャパンHD ⇛ アイ・アールジャパンHD
  • ヒロセ通商 vs. ブレインパッド      ⇛ ブレインパッド

準決勝

  • 翻訳センター vs. シェアリングテクノロジー  ⇛ シェアリングテクノロジー
  • アイ・アールジャパンHD vs. ヒロセ通商   ⇛ ヒロセ通商

決算

  • シェアリングテクノロジー vs. ヒロセ通商  ⇛ シェアリングテクノロジー

最後まで勝ち上がったのはシェアリングテクノロジー

ということで、今回の優勝はシェアリングテクノロジーとなりました。

#四季報夏号トーナメントを開催されていた、よしぼん@kanetennさんの決勝戦結果tweetはこちらです。

四季報2018夏号から発掘した銘柄の比較分析

分析対象

上記の四季報トーナメントにおけるベスト8について比較分析してみたいと思います。

まずは、四季報のコメントを見てみます。さすがにどの銘柄も良い評価コメントばかりです。銘柄名から本ブログの個別分析ページへもリンクさせていますのでご参考まで。

  • フルスピード
    • 【着実増】19年4月期は機能拡充テコに主柱のアドテク伸ばす。ネットマーケも市場拡大が追い風、SNS関連軸に増勢。小粒だが海外事業も拡大。人件費増を軽くこなす。成長投資優先で配当開始はまだ先か。
  • 翻訳センター
    • 【最高益】海外に関係する企業活動が活発で翻訳ビジネスに追い風。特許、医薬、工業向けなど各部門で伸びる。前期買収の機械翻訳も通期で寄与(前期3カ月)。国際会議の運営事業は持ち直す。人員増や販売費増こなし営業益、純益は最高更新。増配。
  • Hamee
    • 【順 調】19年4月期もスマホ買い替え時の需要取り込み、稼ぎ頭のアクセサリー類伸長。EC支援は新規導入先増に加え、機能追加奏功し既存先の単価が上昇基調。人件費漸増でも営業益の伸び続く。増配期待。
  • シェアリングテクノロジー
    • 【増 勢】複数社買収で約12億円売上加算(会社売上想定は慎重、利益影響小)。サイト数増えマッチングの成果報酬伸長。コンテンツ作成費増をこなす。19年9月期は買収各社フル寄与。マッチングなお増勢。
  • 日本和装HD
    • 【記念配】募集早期化と受講期間短縮が奏功し、着付け教室は集客増。会員向けも大型催事が堅調で、販売会収益が伸びる。金融子会社は自社クレジット強化で金利収入が着実。ただ創業記念の一時金支給など販促費負担で小幅増益。創業35周年記念配。
  • アイ・アールジャパンHD
    • 【最高益】IR・SRコンサルは実質株主判明調査拡大。投資銀行はアクティビスト対応助言業務増勢。ディスクロコンサルは統合報告書関連貢献し回復。人員増や拠点開設負担こなし最高益続く。連続増配期待。
  • ヒロセ通商
    • 【増益続く】顧客口座数は増加傾向持続。外国為替取引はドル・円やユーロ・円中心に堅調。18年4月の営業収益は前期比約14%増と滑り出し順調。為替変動率が低調でもカバー取引効率化が寄与。営業増益維持。
  • ブレインパッド
    • 【連続最高益】データ解析は好採算の大型案件が想定超。システム販売は外注費削減で採算改善進む。営業益上振れ。19年6月期もAI活用のデータ解析の需要さらに膨らむ。データ用システム販売とWebマーケ支援クラウドも順調増。留保優先し無配。

それでは、独自に比較分析していきたいと思います。

利用データについてはページ最下部に表で掲載しています。

市場評価

まずは現在の市場からの評価としてPERとPBRを見てみます。

縦軸がPER(今期予想)です。

横軸がPBR(前期実績)です。

四季報2018夏号 PBR PER

かなりキレイにPBR評価とPER評価が比例しています。

時価総額では、最小が日本和装の55億円~最高が315億円のアイ・アールジャパンHDとなっており、個人投資家の興味は小型株に向けられていることが分かります。

高評価(割高)な銘柄

グラフの右上部分の銘柄は高評価(割高)といえます。

シェアリングテクノロジーとブレインパッドが飛び抜けて高評価(割高)となっています。

2社とも大幅な増益期待が大きく、PER70倍超えの評価となっています。

低評価(割安)な銘柄

グラフの左下の部分は低評価(割安)といえます。

日本和装HD、翻訳センター、ヒロセ通商がこの中では低評価(割安)となっています。

とはいえ、PBR2倍以上/PER15倍程度というのは、一般的にいえばフェアバリューな水準かと思われます。

自己資本利益率(ROE)

次にROEとPERで見ていきたいと思います。

縦軸がPER(今期予想)です。

横軸がROEです。

四季報2018夏号 ROE PER

高ROE銘柄

シェアリングテクノロジーが最も高ROEですが、その分、評価もされている印象です。

他の高ROE組としては、ヒロセ通商、Hamee、アイ・アールジャパンHDです。

Hameeは準々決勝において優勝したシェアリングテクノロジーに負けています。

アイ・アールジャパンHDは準決勝に勝ち上がり、ヒロセ通商に負けています。

ヒロセ通商とシェアリングテクノロジーは決勝で戦っています。

つまり、高ROE組の4銘柄は個人投資家から高く評価されたと考えても良いと思います。

低ROE銘柄

低ROE組は、ブレインパッド、日本和装HD、翻訳センター、フルスピードとなっています。

翻訳センター以外は準々決勝で敗退しており、低ROE組は個人投資家には評価されていないと思われます。

とはいえ、すべてROE10%超ですので、日本企業の中では高いROEなのですが・・・。

今期予想EPS成長率

すべての銘柄が小型成長株ということで、今期の予想EPS成長率を見てみます。

縦軸がPER(今期予想)です。

横軸が今期の予想EPS成長率です。対数軸になっています。

四季報2018夏号 EPS PER

今期予想EPS成長率が高い銘柄

ブレインパッドとフルスピードのEPS成長が+100%前後となっており、つまり前期からEPSが約2倍となる見込みです。

しかしながら、両銘柄とも前期減益から、今期V字回復ということで成長率が大きめに出ているという要因もあるため、割引いて考える必要がありそうです。

その他には、Hameeが唯一10%超の成長率となっています。HameeはROEも高いですし、準々決勝でシェアリングテクノロジーと対戦になっていなければもっと勝ち上がれたのではないかと思われます。

今期予想EPS成長率が低い銘柄

日本和装HD、翻訳センター、ヒロセ通商は成長率が低いグループです。

その分、PER評価も低くなっており、予想を超えた成長を見せられれば割安訂正が起こる可能性もあります。

シェアリングテクノロジーは優勝したにしてはイマイチな成長率となっていますが、来季(2019年9月期)の成長率が+100%超の予想となっており、EPSが2倍以上に飛躍的な伸びとなる見込みです。この成長力が評価されての優勝だったのではないかと思います。

四季報2018夏号 個別銘柄ピックアップ

以上の比較分析から、期待の銘柄をピックアップしたいと思います。

ベスト8の銘柄だけあってどれも良い銘柄なのですが、あえて、ということで。

グロース株

優勝したシェアリングテクノロジーは、高ROE、来季EPS成長率がずば抜けており、グロース株として急成長の期待がかかります。

PERは70倍以上まで買われていますが、これは来季にEPSが倍になることを織り込んでおり、その時点でPER35倍程度となる想定だと思われます。

優勝の名に恥じぬ株価上昇を続けるのか注目されます。

割安成長株

シェアリングテクノロジーに決勝で破れたヒロセ通商は、タイプが異なっており、割安成長株に分類されます。

市況関連株であるため低PERになりがちですが、高ROEであり、成長期待もあります。

負けてしまったけれど注目株

準々決勝でシェアリングテクノロジーと対戦してしまったがために、ベスト8止まりとなったHameeも注目だと思います。

高ROEかつ高成長率であり、トーナメントの組み合わせさえ良ければ決勝まで進んだ可能性はあると思います。

Hameeはスマホアクセサリーの印象が強くただの小売と思われがちですが、EC事業支援プラットフォーマーとなっており、安定成長が見込まれます。

まとめ

Twitterで行われていた#四季報夏号トーナメントが興味深かったので、ベスト8の銘柄を取り上げてみました。

勝ち上がりにはある程度の納得感があり、個人投資家は高ROEや高成長率を重視しているように思われました。

最近は、強い銘柄がより強く、割安な銘柄はそのまま安いという傾向がある気がしています。

1年後これらの銘柄たちがどうなるのか気になります。

利用データ

2018年6月22日時点の数値を用いています。

2018年6月15日時点の数値を用いています。

PERは今期予想(yahooファイナンス)です。一部の銘柄で業績予想がなく、yahooファイナンスに記載されていないものは、四季報データを用いました。

PBR、ROEは前期実績値です。

グレアム係数は、PER×PBRです。

今期予想EPS成長率は、今期予想EPS/前期実績EPS-1です。

銘柄名から本ブログの個別分析のページも確認いただけます。

銘柄 PBR PER グレアム係数 ROE 今期予想EPS成長率 時価総額
フルスピード 4.87 15.36 74.8 17.5% 94.4% 149
翻訳センター 2.33 15.27 35.58 15.3% 5.9% 92
Hamee 7.3 25.86 188.78 28.3% 11.5% 253
シェアリングテクノロジー 17.08 75.6 1291.25 32.8% 9.0% 256
日本和装HD 2.12 18.81 39.88 11.4% 2.3% 55
アイ・アールジャパンHD 8.42 34 286.28 24.2% 8.0% 315
ヒロセ通商 3.08 11.6 35.73 28.9% 5.3% 211
ブレインパッド 15.94 70.72 1127.28 11.4% 151.4% 269
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