すかいらーくは、ファミレス最大手。主力業態は『ガスト』。業績低迷で06年にMBO実施。14年10月に再上場。
株主優待は年2回(6月12月)で優待食事券です。個人投資家はあまりの高額さに釣られてしまいつつ優待改悪に戦々恐々としています。
すかいらーくの概要と個人投資家ブログの意見をご紹介します。
目次
王者の戦略とファンドの出口戦略
ファミレス最大手
すかいらーくは、ガストやバーミヤンを有するファミレス最大手であり、ファミレス以外の飲食ブランドも多数有しています。
トップシェアである王者の戦略として、他社との同質化戦略を進めています。要は他社が成功したモデルを真似して規模の経済で打ち勝つということになります。
こちらのブログで専門店業態について、他社ブランドとすかいらーくブランドの対応を解説されています。
この大量出店に関しては、専門店業態に特化していく方向であり、しゃぶ葉(しゃぶ菜;以下括弧内は同業他社類似業態を示す)、じゅうじゅうカルビ(焼肉きんぐ)、chawan(おぼんdeごはん)、むさしの森珈琲(コメダ珈琲店)、とんから亭(かつや)といった、既に同業他社がある程度成功している業態を出店力・調達力で他を圧倒するマーケットリーダーの当社が同質化戦略を取り、他社の伸び代を潰してしまう戦略かと思われます。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
業績低迷でMBOしたものの、ファンドによる経営テコ入れが効いたためか、ここ数年は業績堅調で再上場してきました。
とは言え、店舗数的には成長の限界も感じる水準であり、成長銘柄としては保有しにくいとも指摘されています。
既存店売上も、ここ2~3年は堅調で、前年比売上を上回る状態です。
一方で、外食業界は、ひとつの業態では1千店舗が成長の限界と言われます。
「すかいらーく」は、すでに3千店舗を超えており、さまざまな業態を展開しているとはいえ、成長銘柄としては保有しにくいです。
ファンドの出口戦略
他方、ファンドの出口戦略にも注目が集まっています。
再上場ですべてを売りさばいた訳ではなく、上場後にも継続してイグジットしていっています。
中でも注目されるのが、株主優待の大幅拡充による株価吊り上げです。
ファンドの売出対策のための株価吊り上げと、多くのブログで指摘されています。
去る木曜日にすかいらーくが、年2回実施している食事券優待の大幅な拡充が公表されました。今更言うまでもありませんが、これは大株主であるベインの3回目の売出対策と捉えるのが自然な考え方であり、ベインはなお約44%の株券を握っていますが、いよいよ仕上げにかかってきたと思われます。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
個人投資家としては株主優待の拡充は喜ばしいと評価しつつも、ファンド(ベインキャピタル)の高値での売り抜けについて注意が必要だと指摘されています。
株主優待の拡充は正義であり、喜ばしいことですけれども、依然として39.2%保有しているベインキャピタルが、高値での売り抜けを模索している感があります。
引用元:The Goal
ベインキャピタルは2017年11月28日分で売却を完了し、全てイグジットしました。
筆頭株主であったベインキャピタルが、2017年6月21日の2550万株を@1630円で追加売却したほか、同11月28日に残り分の3,894万株を@1660円(推定)で売却し、持分を全てイグジットしています。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
中期経営計画
すかいらーくは、2019年12月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画を発表しています。
この3ヵ年を「店舗拡大を通じた成長」と位置付けており、特に専門店業態の出店を加速させる見込みです。
最終年度と成る2019年12月期において、売上高3,900億円程度(年率+3~4%成長)、営業利益380億円(年率+6~8%成長)を目標値としています。
新規出店が成長ドライバーとなり、原材料費増をコスト削減でほぼ相殺して利益成長を目指す見込みであると指摘されています。
この3年間累計で450店(純増350店)の出店が前提となっており、主に新規出店にが成長ドライバーとなります。原価増に関しては、原材料費はコスト削減でほぼ相殺、人件費は3年で50億円の増加までは織り込んでいます。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
株主優待は優待食事券
株主優待は年2回(6月12月)で、保有株式数に応じて、優待食事券が貰えます。
- 6月
- 100株以上 3,000円
- 300株以上 9,000円
- 500株以上 15,000円
- 1,000株以上 33,000円
- 12月
- 100株以上 3,000円
- 300株以上 11,000円
- 500株以上 18,000円
- 1,000株以上 36,000円
1,000株が最も利回りが高くなっています。
現物+クロスで最大額を取得
ホールドしている現物に加えて、優待取得時にクロス取引で追加されて1,000株にすることで最大額の優待を取得された方もいらっしゃいます。※逆日歩にご注意ください。
私ではハードルが高いだろうと思っていた1,000株に初めて挑んでみました。
といっても700株はクロス取引きなのですが、手数料だけでもそれなりに高くてちょっとドキドキしました。
食事優待券の使い方
すかいらーくの食事優待券はお釣りがでないため、他の決済手段との併用がオススメされています。
ベストなのは、優待で貰えたり、金券ショップで割安に購入できるジェフグルメカードとの併用です。ジェフグルメカードはお釣りも出ます。
また、クオカードの併用も可能だそうです。
ジェフグルメカードとの併用も可能なので、まずはすかいらーくの優待で支払って、残りはジェフグルメカードというのがベストです。
引用元:The Goal
優待改悪に戦々恐々
あまりに高額・高利回りの優待であり、ファンドの出口戦略とも噂される中で、個人投資家の多くは優待改悪に戦々恐々としています。
四季報にまで優待負担増を指摘されています。
明らかにやってしまった感がありますね。
ブログ、ツイッターでも
店舗からすかいらーくの株主優待券の案内が消えたとか
オークションでの買取価格が暴落したとか
チョットした社会現象でしょうか?
極めつけはこれ。会社四季報にまで書かれてしまっています。
株主数が25万人というのはすごいですね・・・。
「すかいらーく」の株主優待は、非常に太っ腹ですが、今年6月からの優待拡充で株主数が増加し、いまや約25万人にも達しています。
これは会社にとっても想定以上だったようです。
一方で、過去にはコロワイドが優待を継続している例があり、すかいらーくも同様の道を辿るかもしれない希望もあります。
コロワイドが100株5万円以内で買えていた頃、500株を現物で買った人たちは今投資した25万以上の優待権利を毎年もらっています。コロワイドの株主優待の改悪の噂はずっとありますが、業績があまりよくない現在でも継続しています。
引用元:おばちゃんお得情報奮闘記
ベインキャピタルがイグジットが完了した2017年11月は、売却先を機関投資家に限っており、簡単に損をさせるわけにはいかないということから優待制度は当分続くのではないかと予想されています。
ベイン及び“忖度”が予想される当社マネジメントは、イグジット先である内外機関投資家に簡単にキャピタルロスを出させるわけにもいかないため、現行の優待制度が“相当程度の期間”維持される可能性が高まったとみています。現に谷社長は決算説明会や各種マテリアルで優待継続を匂わせる発言をしているため、改悪の可能性は残るものの、やはりベインの売却完了に従って廃止される可能性は薄くなったと考えています。
引用元:なちゅの市川綜合研究所
総合評価
他の飲食チェーンに比べると、図体が大きいこともあって、利益成長は緩慢です。加えて、優待改悪の恐怖や、ファンドの売出しによる需給懸念もあるため、株価はレンジから抜け出せそうにありません。
株主優待は非常に魅力的ですので、割り切ってホールドするのもアリだとは思いますが、優待改悪が怖いため、基本的には権利日のクロス取引を活用する程度で良いと思われます。その際には逆日歩にも注意したいところです。