東宝は、阪急系、発祥は映画興行。邦画配給、興行収入で断トツ。映画館跡地利用の不動産賃貸が下支え。
株主優待は映画優待券または映画招待券です。
東宝の概要と個人投資家ブログの意見をご紹介します。
目次
映画業界トップ企業はヒット作を連発できるか
事業内容
東宝は、映画事業を主力として、演劇事業、不動産事業も行っています。
阪急統合グループの創業者である小林一三が1932年に東京宝塚劇場を設立したのが起源となっており、1936年には東宝映画配給、1937年には東宝映画を設立しています。
映画事業
映画の企画製作から配給、宣伝、興行(映画館での上映)、パッケージ製作・販売、海外販売までの映画ビジネスの全てを一貫して展開しています。
配給・興行の両面で国内トップシェアを獲得し続けています。
映画の企画製作・配給では、特に名探偵コナンシリーズやドラえもんシリーズのアニメ映画が好調です。自社企画・幹事作品の強化に取り組んでおり、その中から「君の名は。」「シン・ゴジラ」といったヒット作も生まれています。海外映画の配給については東宝東和が担っています。
興行では、全国各地のTOHOシネマズを中心に、東宝グループ合計で678スクリーン(シェア18.5%)を保有しています。※2017年12月時点
さらに、TOHOシネマズの山手線ドミナント出店戦略を掲げており、ここ最近では新宿、上野、日比谷にオープンさせており、2020年夏には池袋にもオープンする予定です。

東宝グループ中期経営戦略「TOHO VISION 2021」より抜粋
演劇事業
東京宝塚劇場を設立で始まった東宝グループの祖業です。
商業演劇やミュージカルの公演の企画・製作を行っており、帝国劇場やシアタークリエ等の直営劇場も保有しています。
不動産事業
映画事業や演劇事業は当たり外れも大きいため、収益を下支えする基盤事業として、不動産事業を行っています。
全国の主要都市に好立地の不動産物件を保有し、賃貸活用や再開発を行っています。
映画事業はヒット作次第
映画事業においては、映画(それも東宝の自社企画・幹事作品が望ましい)のヒット作が出るかどうかで大きく業績が変わってきます。
最近では、2016年の「君の名は。」「シン・ゴジラ」のダブル大ヒットがありました。これを受けて2017年2月期に東宝は過去最高益を記録しています。
ここ数年は毎年のようにヒット作が出ており、映画業界が盛り上がりを見せているとコメントされています。
ここ数年、映画業界が盛り上がりを見せています。その背景には、ヒット作に恵まれていることがあるようです。以下にヒット作をかんたんにまとめてみました。
・2014年:『アナと雪の女王』
・2015年:『ジュラシック・ワールド』、『ベイマックス』、『妖怪ウォッチ』
・2016年:『君の名は。』、『シン・ゴジラ』
・2017年:『美女と野獣』、『怪盗グルーのミニオン大脱走』、『ラ・ラ・ランド』
引用元:楽しい株主優待&配当
特に「シン・ゴジラ」は自社製作だったので利益貢献が大きかったと指摘されています。
東宝は、「シン・ゴジラ」や「君の名は」のヒットで、上期は売上は減少したものの、増益になり、株主通信見ると素晴らしい業績だったようです。
特に「シン・ゴジラ」は自社制作だったんで、利益貢献が大だったようです。
注目されている映画が大ヒットの兆しを見せると、株価もそれにつれられて値上がりしやすくなるとコメントされています。
注目されている映画が大ヒットのきざしを見せたとき、株価がそれにつられて値上がりしやすくなるという傾向があります(長続きするかわかりませんが・・・)。
引用元:ど素人の株ブログ
ヒット映画の状況
2017年2月期
「君の名は。」「シン・ゴジラ」の2つが大ヒットし、名探偵コナン、ドラえもんも安定した興行収入となり、過去最高益を記録しました。
2018年2月期
「名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)」と「映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」がともにシリーズ最高の興行収入となりました。
邦画でも「君の膵臓をたべたい」がヒットし、洋画では「怪盗グルーのミニオン大脱走」「SING/シング」「ワイルド・スピード ICE BREAK」がヒットしました。
前年度には及ばないも、ヒット作が豊富な年となりました。
2019年2月期
前年に続いて、「名探偵コナン ゼロの執行人」と「映画ドラえもん のび太の宝島」がともにシリーズ最高の興行収入をあげました。
しかしながら、邦画実写映画でヒット作がなかったことや、前年度の「シン・ゴジラ」パッケージ販売の反動があり、1Q決算は-27%営業減益に沈んでいます。
好財務
2014年2月期以降は無借金経営となっており、高い自己資本比率を維持する好財務の状態が続いています。
2018年2月期においては、キャッシュと長期投資で1,650億円(cf. 時価総額6,100億円)を保有し、自己資本比率は76%となっています。
中期経営計画
東宝は、2021年2月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画を発表しています。
映画事業の当たり外れがあるため、最終年度の目標値を設定するのではなく、3年間の巡航高度として営業利益400億円以上とし、過去最高益(502億円)の更新に挑戦するとしています。
営業利益400億円という数値は、過去3年間でも達成しており、目標としては高くは無いと思われます。
しかしながら、初年度となる2019年2月期はいきなり営業利益380億円予想を提示しており、中計との整合性がとれない状況です。
株主優待は映画優待券または映画招待券
株主優待は保有株式数に応じて映画優待券または映画招待券がもらえます。また、1万株以上で演劇招待券ももらえますが、個人投資家でこの株数を保有する方はほぼ居ないと思われます。
映画優待券は指定劇場にて800円で鑑賞可能であり、映画招待券は無料で鑑賞可能です。
- 映画優待券
- 100株以上 2枚
- 500株以上 8枚
- 映画招待券
- 1,000株以上 6枚
- 2,000株以上 12枚
- 3,000株以上 18枚
- 5,000株以上 36枚
- 10,000株以上 60枚
- 20,000株以上 90枚
- 30,000株以上 120枚
- 50,000株以上 150枚
- 100,000株以上 180枚
- 演劇招待券(6公演分)
- 10,000株以上 A席各1枚
- 30,000株以上 A席各2枚
- 50,000株以上 S席各3枚
映画招待券は1,000株以上(=300万円以上)の投資が必要となるためか、優待の取得・利用をレポートしている個人投資家ブログは見当たりません。
映画優待券についてはこちらで紹介されています。
TOHOシネマズで使える割引券です。
映画1本を800円で鑑賞できます。
引用元:yomelog
総合評価
日本の映画業界のトップ企業で、企画製作から興行やパッケージ販売まで一貫して手掛けています。映画事業はヒット作次第なところもありますが、総じて業績・財務ともに安定感があります。
2018年7月時点でPER22.2倍/PBR1.71倍となっています。2019年2月期1Q決算を受けて株価は急落し、年初来安値となっています。
稼ぎ頭であるコナンとドラえもんでシリーズ最高の興行収入をあげながらも、大きな減益に落ち込んだのはネガティブサプライズと思われます。次は「未来のミライ」が注目されるものの他には期待作がないため、今期業績は厳しいものになると思われます。PER20倍台の正当化は難しく、底値探りが継続しそうです。