ユニバーサルエンターテイメント(ユニバE)は大手パチスロメーカー。米ウィンと組みカジノホテルを経営していたが、対立関係に陥り係争中。フィリピンにオカダマニラというカジノを建設し、開業予定。
係争中のウィンの株式(または債権)の含み益があるからバリュー株だという見方もあり、パチスロやカジノといったグレーな領域での係争や強引な資金調達によるクソ株だという見方もあります。
ユニバEの概要と個人投資家ブログの意見をご紹介します。
目次
個人投資家はユニバEに夢を見るか
これまで大手パチスロメーカーとして安定的な収益をあげていたユニバEですが、現在のもっぱらの注目はカジノ経営です。
その前にまずはバリュー株としての注目点である米ウィンとの係争を見ておきます。
米ウィンとの係争とユニバEの含み益
米ウィンとはウィン・リゾーツ社で、アメリカのカジノ経営会社です。ユニバEは米ウィンの株式の約20%を保有していましたが、ユニバEがフィリピンでのカジノを単独経営する方針となったため関係が悪化し、泥沼の係争になっています。
ユニバEが持っていた米ウィンの株式約20%がどうなっているのかは、みきまるさんのブログが詳しいです。
ウィンリゾーツ社はユニバEの連結子会社であるAruze USA Inc.を株主として不適任であるとして、Aruze USA Inc. が保有するウィン・リゾーツ社株式(24,549,222株、発行済株式に対する持分割合:当時19.66%)を、同日のウィン・リゾーツ社株式時価の約30%の割引価格(つまり70%)で10年満期の長期受取手形(19億ドル=約2200億円)を対価として償還することを決定し、即日勝手に実行しました。
引用元:みきまるの優待バリュー株日誌
つまり、ユニバEが持っていた米ウィンの株式約20%は、30%割引された債権に変えられてしまいました。それでも債権の価値は19億ドル+年利2%です。
しかし、係争中であることから、ユニバEとしてもその債権の存在を認めるわけにはいかないので、決算上は、取得原価のままとなっています。
そして 勝手に30%減価されて19億米ドル相当の債券にされてしまった この株券は現在、仕方なく取得原価の543億9500万円(2016年度有価証券報告書65ページで確認)でバランスシート上に計上されています。
引用元:みきまるの優待バリュー株日誌
取得原価は544億円であるため、ユニバEにとっては、19億ドル+年利2%の債権であろうが、元々の20%分の株式であろうが、どちらでも隠れた含み益の状態です。
これがユニバEのバリュー株としての見方です。
実際には1600億円超の、これだけでカジノを1つオープン出来るくらいの巨大な含み益がある 状況に変わりはありません。
引用元:みきまるの優待バリュー株日誌
カジノ運営という夢
次は注目のオカダマニラです。日本で初めてのカジノ運営というところに夢が膨らみます。また、フィリピンの国策事業であることも期待を大きくさせます。
その実現性に依然不透明さは残るものの、2015年のフィリピンカジノリゾート開業後には収益の「1桁違う」、まさに異次元の成長性が期待できる。カジノで一番儲かるのは何と言っても「胴元」である。
引用元:みきまるの優待バリュー株日誌
開業後4年間は法人税免除かつ5年目以降も軽減税率の適用が認められる
という 発展途上国のフィリピンならではの太っ腹な超大出血サービス を受けることができるのも非常に大きな魅力です。 このカジノプロジェクトはフィリピンにとってはまさに国策事業なんですね。
引用元:みきまるの優待バリュー株日誌
オカダマニラの開業に向けて膨らむ資金需要
カジノ運営の夢が膨らむ一方で、カジノリゾートの建設・開業には多大な費用が必要となります。そのため、ユニバEは多くの資金を調達する必要がありました。
2015年~2016年に、ユニバEはかなり高い金利での資金調達を行い、先行きが不安視されました。
2015~2016年にかけてオカダマニラの開発資金に関して合計12億ドル(金利は8.5%~12%)の私募債を発行しており、以前と較べるとバランスシートがやや緩み、弱ってきているのは気がかりです。
引用元:みきまるの優待バリュー株日誌
カジノ建設・開業が、当初予定より遅れたことも、必要な資金が増えた一因であると思います。
そして計画は当初2015年って言ってたのが
施設は2014年度内には完成し、今のところ遅くとも2015年度内の開業が予定されている
これの完成時期が伸びまくってる。
ようやくオカダマニラ開業が発表に
計画より伸びましたが、2017年3月末にオカダマニラはグランドオープンすることが発表されました。グランドオープン前でも部分的に営業しており、カジノも楽しめるようです。
現地でオカダマニラの様子を伝えてくれているブログもあります。オカダマニラへ向かう片道4車線の道路が国策感を感じさせます。
フィリピンではおそらく一番空いている道路です(笑)
まだカジノの一部オープンしかしてないので、行く人も少ないし夜の1時だったので余計ですね。
更に膨らむ資金需要?
グランドオープンが発表されて安心していたホルダーたちを襲ったのが、自社株の売り出しでした。元々は浮動株が4%という品薄株でしたが、7%分ほどにあたる自社株を海外に売り出すことを発表しました。
やはり開業にこぎつけた今も、まだ資金は必要になってくるということでしょう。一方で、増資のように希薄化されるわけでもなく、高利率の社債のようにコスト高なわけでもないので、その点では良い資金捻出の方法だったのかもしれません。
どんだけお金必要やねん!!
3/10資金調達のリリース。分売の10%割引は気に入らないけど自社株の売り出しだから希薄化に繋がるわけではないし、社債等で変な金利で調達されるよりは良いんじゃないですかね。
引用元:バリュー投資してます
また、カジノが開業されれば全て良しかというとそうではなく、今後は適切な運営が行えるかが注目となりそうです。簡単に利益が出そうなカジノ運営ですが、開業当初は赤字になる可能性も指摘されています。
岡田会長は初年度から500億円の利益目標と大風呂敷を広げていますが、近場で2014年度開業のCODマニラは初年度-220億円(多額の投資負担が発生)だったことを考えるとかなり株主をミスリードさせる発言だと言わざる負えません。
引用元:コムストックの投機日記
米ウィンと和解
2018年3月9日朝に突如として、米ウィンとの和解が発表されました。
和解契約の内容として、
- ユニバーサルE社とAruze USA社は、ウィン・リゾーツ社及びその執行役・取締役に対する全ての請求を取り下げ、ウィン・リゾーツ社は、ユニバーサルE社とAruze USA社に対する全ての請求を取り下げる。
- ウィン・リゾーツ社は、平成30年3月31日までに、総額26億3,200万ドルをユニバーサルE社グループに支払う。
の2点が開示されました。
ユニバーサルE社はウィン・リゾーツの株式を諦め、長期受取手形を受入れたということだと思われます。
不明な点は、ウィン・リゾーツ社から支払われる総額26億3,200万ドルは、長期受取手形の償還を含んでいるのか?というところです。詳細が明らかになり次第、追記していきます。
この発表を受けて、ユニバーサルEの株価は急落し、ストップ安となっています。
2018年3月9日引け後に、ウィン・リゾーツ社から支払われる総額26億3,200万ドルの件で、上方修正が発表されました。
しかしながらその内容から、上記で「不明な点」と書いた話の答えとして、長期受取手形の償還が含まれていることが明らかとなりました。
これに対する評価は分かれているようです。
即金で26億ドルの評価がわかれるところですが、私の意見としては株価の期待に見合った金額ではないという感じです。
理由としてはウィンリゾーツが仕掛けた自社株の強制償還や数々のネガティブキャンペーンの被害を考えると、あまりに割をくった結果だと考えているからです。
引用元:ユニバーサルエンターテインメント株で資産を10億円増やすブログ
週明け3/12の株価はさらに下落しており、市場としては今回の和解はマイナス評価もしくは少なくとも材料出尽くしとして捉えられているようです。
夢は実るのか、破裂するのか、今後も目が離せません!
隠れ優待銘柄
ここまで事業内容を見てきましたが、ユニバEは隠れ優待銘柄でもあります。優待は公開されていませんが、毎年、趣向を凝らした品物が貰えるようで、ホルダーたちの楽しみになっています。
2016年は有田焼の豆皿&銘々皿コレクションでした。毎年5,000円~1万円程度の品物になっているようです。
非売品との事でしたが、豆皿5枚セットは岡田美術館のミュージアムショップで販売されており、税込4104円となっています。これに銘々皿の2枚を加えると6000円以上するのではないでしょうか?
引用元:やっぱアルゼ株でしょ!!ブログ
※アルゼ=ユニバEの過去の社名
2017年分は無いのかと個人投資家が不安になっていたところ、2018年2月になってやっと優待が届きました。金ピカのモバイルバッテリーでした。
箱を空けてみるとモバイルバッテリーでした!!
総合評価
バリュー株なのか材料株なのかクソ株なのか・・・ユニバーサルエンターテイメントの全貌を掴むことは普通の個人投資家には不可能であり、ハッキリ言って触ってはいけない株だと思います。
触るとすれば、研究を重ねて絶対の自信で飛び込むか、割り切った少額勝負かでしょう。